最終戦アブダビGPのトロロッソ・ホンダは、フリー走行1回目でちょっとしたトラブルに見舞われた。ピエール・ガスリーが走行中に、マシン後方からかすかに白煙をあがった。
「ギヤボックスからオイルが漏れたんだ」というガスリーは、ピットイン。セッションの終了が近かったことから、そのままギヤボックス交換作業に移った。
「フリー走行1回目で若干、走行時間を失ったんですが、フリー走行2回目までには修復し、金曜日の基本的なメニューに関しては、ハートレーと同じようにガスリーも消化することができました」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)
アブダビGPは予選とレースが、日没間近の午後5時(レースは午後5時10分)に開始されるため、日中に行われるフリー走行1回目と3回目のセッションはあまり参考にならない。ガスリーのギヤボックストラブルがフリー走行1回目だったことは、不幸中の幸いだった。
一方、チームメイトのブレンドン・ハートレーも問題に見舞われることなくプログラムをこなし、最終戦を順調にスタートさせることができた。その中でも今回トロロッソ・ホンダが重点を置いていたメニューがロングランでいかにタイヤの寿命をのばすことができるかだった。
「前回のブラジルGPで僕らはレースで苦しんだので、そこを重点的に見直すプログラムを行なった」というハートレー。
この日、トロロッソ・ホンダは2台で異なったタイヤでロングランのメニューをこなした。ガスリーはハイパーソフトタイヤでショートランとロングランを行なった後、ウルトラソフトタイヤでロングランを消化した。
■2台で走行メニューを分けたトロロッソ・ホンダ
一方、ハートレーはハイパーソフトでのショートランとロングランまではガスリーと同じだが、その後ウルトラソフトではなく、スーパーソフトタイヤを履いてロングランを行った。
2台でメニューを分けて、より多くのデータを収集。金曜日の夜に、データを解析して、土日に向けたセットアップ変更に生かす。
ただし、この日はタイヤ以外でも2台は異なっていた。それは空力パッケージだ。当初は2台とも同じ空力パッケージだったが、ガスリーが最終コーナー手前の20コーナーの出口にある高い縁石に乗って、フロントウイングとフロアにダメージを負ってしまった。そのため、フロントウイングは最新仕様ではなく、旧仕様となってしまった。
「ダウンフォースが10~15%も減ったために、とても乗りづらかった」(ガスリー)
時間を有効に使うために2台で異なるメニューを行ったトロロッソ・ホンダだが、ガスリーがマシンにダメージを与えたために、その情報が同じ状況で得られたものとはならなかった。それが金曜日の夜のセットアップ変更にどのように影響するのか。トロロッソのエンジニアたちの分析力に期待したい。