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Hey! Say! JUMPの群舞は覚悟の証 「BANGER NIGHT」8人のダンスに見えた“進化”とは?

2018年11月23日 12:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 Hey! Say! JUMPが、今夜の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に生出演。最新アルバム『SENSE or LOVE』より、リード曲の「BANGER NIGHT」を披露する。「BANGER NIGHT」は、BTS(防弾少年団)の振付師として有名なソン・ソンドゥクが振り付けを担当し、「過去最高難易度」との呼び声も高い激しいダンスが見どころだ。


(関連:Hey! Say! JUMPの新たなチャレンジ 岡本圭人らがラジオで語った想いの丈から感じたこと


 Hey! Say! JUMPといえば、ジャニーズグループ内でも最大級の人数を生かした群舞が強みと言われてきた。だが、それは最初からあったものではない。彼らが絆を確かめ合うたびに、ダンスのキレが増し、そして揃っていった。Hey! Say! JUMPの群舞は、彼らの覚悟の証。全員で意識的に手に入れた武器だ。


 デビュー当時は、バラバラのキャリアを持つメンバーの集まりだったHey! Say! JUMP。当然、ローキャリアのメンバーはついていくのに必死で、もともとダンスが得意なメンバーとの差が出てしまう。それも仕方のないこと、成長過程を見守っていくことも彼らを応援する醍醐味だ、そう思っていた。だが、9人での再出発を決めた2011年前後を境に、明らかにダンスパフォーマンスが変わったのを覚えている。


 特に、9人体制となってから初のシングル『Magic Power』のカップリング曲「Beat Line」を披露したときの、ファンのどよめきは忘れられない。黒地に白いラインが入ったスーツに身を包み、ガツガツと行進してくる姿は、明らかに“進化“を遂げた姿だとわかった。手を伸ばし、膝を曲げてしずむ振り付けも、横一列で一切のごまかしなし。そのステージはバラバラの9人ではなく、Hey! Say! JUMPというひとつの人格が踊っているような一体感だった。


 9人の動きを揃える難しさは、キャリアだけではない。Hey! Say! JUMPは、愛らしい印象の小柄なメンバーと、モデルを務めるほどの長身メンバーが混在している。長身のメンバーが手足を伸ばしきったラインに合わせて、小柄なメンバーは大きく踊らなければならない。一方、すばやい動きを得意とする小柄なメンバーに合わせて、長身メンバーは大きく伸ばした手足を即座に戻して次の動作に移るフィジカルの強さが求められる。大きく見せる表現力と、速い動きを実現する筋力。どちらかに寄せるのではなく、最大値に合わせるストイックさ。9人のダンスには、一人の妥協も許されない緊張感が走った。


 そして今年、岡本圭人が留学したことによって、Hey! Say! JUMPは8人体制となった。9人で培ってきた“揃える技術“を、一度0にしなければならない怖さもあったはず。その不安を吹き飛ばした曲が「BANGER NIGHT」だ。「合宿みたいなノリだった。2日間ずっと踊って踊って踊って……」と伊野尾慧が、ラジオ『らじらー!サタデー』(NHKラジオ第1)で、およそ15時間にも及んだダンスレッスンを振り返る。


 Hey! Say! JUMPの中でもベテランのキャリアを持つ八乙女光でさえも、「立ち位置をちょっとでもミスれない曲なので、結構踊るとき緊張しますね」とコメント。レッスン風景を収めたメイキングムービーでは、汗だくになるメンバーが映し出される。振り覚えが最も早く天才型と称される知念侑李も、黙々と汗を拭う。ダンスにかけては特別な思いを抱く山田涼介も思わず倒れ込む。「脚がいうことをききまてん!」と、カメラに向かっておどけて見せたのは彼の中にある生粋のアイドルマインドゆえだろう。


 だが、8人という新しい体制だからこそ、これまでにないフォーメーションも実現したように思う。MVを見ると、中島裕翔を先頭にした8人のかたまりから、サッと高木雄也が飛び出しカメラを先頭にした三角形へと変化する。その展開の素早さは、まるで万華鏡を見ているかのようだ。腰を固定し、ゆっくりと上半身を動かす。緩急のついた動きに、何が起こるのかと期待せずにはいられない。すると、一気に花が開くようにメンバーがかがむと、中から山田が現れるドラマチックさ。まだ1フレーズも歌っていないのに、これだけの仕掛けが組み込まれているのだ。


 1番はソロパートが多くそれぞれの見せ場もたっぷり。一人対7人で引き立てていく。そして、徐々にペアでの動きも増えていく。先にも述べた通り体格差のある知念&薮宏太のターンがバシッと揃うところも気持ちいい。セクシーな腰つき、勝ち気な眼差しと、一気に大人びた彼らだが、ムードメーカーである有岡大貴の笑顔が垣間見えると、思わずホッとする。K-POPの良さを取り入れながらも、彼らならではの変わらない良さも感じられるのが、Hey! Say! JUMPの進化だ。これまでがあって、今がある。なぜ彼らが今、これほどしゃかりきに踊るのか。今夜の生放送では、この曲にたどり着くまでの彼らのヒストリーと、これからを見据えた8人の本気を見てほしい。(文=佐藤結衣)
※高木雄也の「高」はハシゴダカが正式表記。