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7年越しのシリーズ最新作『絶体絶命都市4 Plus』 震災の恐怖を訴える、表現力の進化とは

2018年11月22日 23:52  リアルサウンド

リアルサウンド

 11月22日、グランゼーラからPS4用ソフト『絶体絶命都市4Plus-Summer Memories-』(以下『絶体絶命都市4 Plus』)が発売された。


 本シリーズは現実でもいつ起こるか分からない震災をテーマに扱うサバイバル・アクションアドベンチャーだ。『絶体絶命都市4 Plus』は2002年発売のPS2(プレイステーション2)用ソフト『絶対絶命都市』シリーズのナンバリングタイトル4作目で、日本の都市部における震災被害をリアルに描き出している。いつまでも続くと思われた日常が、災害によって崩れ去る……。実際に起こってみなければ体感できない「震災の恐怖」を、ゲーム作品に落とし込みながら、ユーザーに災害に備えることの重要性を訴えかけている点に注目してもらいたい。


参考:『絶体絶命都市4Plus』体験版に見る、“災害のリアリティ”と“ゲームらしい遊び心”の両立


「ビル倒壊」から見る進化した災害表現


 落ちれば命に関わるほど深く裂けた地面の穴、揺れの影響で停電し明かりを失ったショッピングモール、そして地鳴りを響かせながら倒壊するオフィスビル。これらは『絶体絶命都市4 Plus』の冒頭で主人公(プレイヤー)が経験する光景だ。前作『絶体絶命都市3-壊れゆく街と彼女の歌』がPSP(プレイステーション・ポータブル)専用ソフトだったこともあり、グラフィック周りの進化は目に見えて実感できるだろう。


 そして当然だが、震災に巻き込まれるのは主人公だけではない。目の前で起きた現実に対応できず、白昼の街中で戸惑う人々(NPC)もリアルに表現されている。地震発生直後で恐怖に怯えうなだれる人もいれば、スマートフォンで些細な情報を頼りに現状の打開に試みる人、倒壊したビルの瓦礫に足を挟まれ苦痛に悶える人もいる。こうした模様は、ゲームの演出と分かっていても「もし現実で起こったら……」と思うほど大胆に描かれており、人によっては考えさせられるものがあるかもしれない。


 本作はサバイバル・アクションアドベンチャーと表記されている通り、刻一刻と進行する進行危機的状況から身を守るアクション操作が求められる。例えば小規模~中規模の余震に見舞われたなら、転倒しないようにしゃがむ。または今にも倒れてきそうな建築物から離れるため、駆け足で移動する。このゲームには華麗なステップ移動や身の丈を軽々超えるジャンプは不可能だが、命を落とさず生き延びるためのアクションが無駄なく実装されているのだ。


ストーリー進行に不可欠な登場人物との交流


 『絶体絶命都市4 Plus』はアクション面だけでなく、ゲーム内で出会う様々なキャラクター(NPC)との交流も重要となってくる。震災という非常事態下において、他者との協力は不可欠。街中で困り果てるキャラクターの助けになることで、友好関係が生まれストーリーが展開する。逆にわざとそっけない態度を取ったり、ユニークなネタ発言で相手を困惑させることも可能。その際はキャラクターから帰ってくるリアクションも、的外れだったりネガティブな結果に終始する。困っている人を見捨てず救って回るヒーロープレイに徹するも良し。他人を顧みず身の安全を第一に考えて行動するも良し。大まかなストーリーは決まっているものの、ある程度のロールプレイは楽しめる仕組みだ。


 「震災」というテーマを扱っている以上、『絶体絶命都市4 Plus』がプレイヤーを選ぶのは間違いない。それでも他にはない自然災害をメインに捉えたゲームシステム、そして深刻な状況下であぶり出される人間の姿をストレートに表した作品だ。気になった方はまず体験版を実際にプレイしてみて、ストーリー序盤の被災パートに触れてみてはどうだろうか。


(龍田優貴)