ツイッター上で11月初旬、「尊い」を意味する手話の誤情報が広がった。発端はあるツイッターユーザーが作成したコラ画像で、腕を肩の高さで縮め、手首から先をぱたぱたと動かす「鳥」を表す手話を、「尊いの動作」「天に召されるしぐさをする」と書いていた。該当のツイートは現在削除されているが、少なくとも7万件以上のリツイート、18万件以上の「いいね」を集めていた。
コラ画像の元になったのは、日本ろうあ連盟が監修し汐文社(東京都千代田区)が発行する『子どものための手話辞典』だった。汐文社は11月21日、ツイッターで
「心ある皆様のお力で訂正情報が広まりつつあり感謝申し上げます。誤った情報を拡散することのないようお願いいたします」
と呼びかけた。22日16時点で1.7万件以上リツイート、8000件以上「いいね」されている。
「確認せずに拡散してごめん」の一方「そんなに深刻な問題?」という声も
自身もろう者で美術大学に通うコノミさんは12日、ツイッターに自作の漫画を投稿し、拡散された画像がコラージュであることを指摘した。当初は「時代に合わせて新しく作られた手話」「新しい【尊い】の手話が制定されたのかと思った」そうだが、後に調べたところコラ画像だったと分かったという。
標準手話では、親指を立てた右手を、指先を前に伸ばした左手のひらに乗せ、上に動かす動作が「尊い」を表すことも説明していた。投稿された漫画は、11月22日16時時点で1.9万件のリツイート、1.6万件の「いいね」を獲得している。
漫画は、17日にネットニュースサイトBuzzFeed、19日にAbemaTVが取り上げた。この影響もあり、「尊い」の手話への誤解は除々に解かれつつある。しかし、ネットでは「あれデマだったのか」「確認せずに拡散してごめんなさい」という呟きもある一方、「嘘ネタツイートが拡散されて、そんなに深刻な問題?」と、深刻さに気づいていない人もいる。画像を自分で保存したのか、拡散されたコラ画像を未だに使う人も見られた。
ネットの情報拡散力は強いが、悪気なく誤情報を広めてしまうケースも多々ある。シェアする前にその情報が正しいものかどうか、一呼吸置くよう心がけたい。