2018年11月22日 12:52 弁護士ドットコム
芸能事務所の社長から、沸騰する鍋に顔を押し込まれるなどの暴行を受けたとして、元社員の男性が社長を刑事告訴するとともに、民事でも損害賠償請求を検討中だと明らかにした。
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被害を受けた男性は11月22日、東京都内で記者会見を開き、「社長に洗脳されていたし、精神的にやられていた。沸騰する鍋に顔を突っ込むより、社長に怒られるほうが怖かった。今回の件を認め、社長に罪をつぐなってほしい」と、話した。
この問題は21日発売の「週刊新潮」が報じていた。
代理人の河西邦剛弁護士によれば、男性がこの芸能事務所に入社したのは2014年の夏ごろ。ファッション誌のモデルなど約20名が所属し、当時、社員は男性のみだった。男性はスカウト業務、イベント運営、社長の車の運転などの業務を担当していた。パワハラは報じられた「しゃぶしゃぶ鍋事件」以外にも日常的にあったと主張する。
14年の冬には、取引先を招いた事務所の忘年会で、男性は二日酔いのため、翌日、遅刻をした。すると社長から「誠意として頭を丸めて来い」「罰金として10万円持って来い」などと言われた。実際に男性は坊主となり、友人から借りて10万円も渡したのだという(退社後、男性の求めにより返金)。
「週刊新潮」が報じた、しゃぶしゃぶ鍋に顔をつける暴行があったのは2015年12月。渋谷の居酒屋で、社長、所属モデル、取引先らと忘年会を開いた際の出来事だった。社長が「面白いことをやれ」と要求したため、男性は「できない」と断ったものの、社長は男性の首をつかみ、沸騰しているしゃぶしゃぶの鍋に男性の顔を2度、押し込んだという。
「(その場は)社長には逆らえない雰囲気があった。クライアントさんも止めることはできなかったと思う。(社長に)イヤだというと、後日、数時間詰められたりすることが何度もあった。怒られるのではないかという恐怖もあって、やるしかないな、盛り上げるしかないな、となってしまった」
男性が鍋の熱さにたえられず動くと、鍋から液体がこぼれるほどだったという。そのまま忘年会は続けられた。社長は「帰ったほうがいいよ。顔ほんとやばいから帰ったほうがいいよ」と話したが、謝罪の言葉はなかった。
男性は忘年会後、友人とともに救急外来に行き応急処置を受け、顔面第2度熱傷、皮膚感染症、湿疹と診断された。忘年会翌日、社長は男性の自宅を訪ね、「お前、自分から頭、突っ込んだよな」「何日後くらいから仕事できるの? 2~3日後からできるでしょ?」などと発言したという。
治療のため2~3週間仕事を休んだ。やけどによる後遺症として、現在でも日焼け時や乾燥するとかゆみがある。また男性は「鍋をみると思い出してしまうし、忘年会シーズンになるとフラッシュバックがある。やっと公の場で話せる時がきたのかなと思う」と話した。
男性は2017年1月に退社した。
(弁護士ドットコムニュース)