企業口コミ・給与明細サイト「キャリコネ」は11月13日、「技術職が働きやすい企業ランキング」を発表した。
機械・電気や建築・土木、医療、ITなどの専門的な技術や知識を活かし、サービスや商品の製造や設計、オペレーションなどに携わる「技術職」。メーカーの品質管理や研究開発、IT企業のシステムエンジニアやプログラマなど、さまざまな業界・業種で幅広く活躍している。手に職があり安定したイメージあるが、実際に技術職として働きやすいのはどんな企業なのだろうか。
今回は「キャリコネ」の技術職ユーザーによる「労働時間」「やりがい」「ストレス」「休日」「給与」「ホワイト度」の6項目の評価の平均点(総合評価)が高い企業をランキング化した。
ソニー「1人分のデスクも他社に比べるとかなり広く、圧迫感なく仕事ができた」
1位:トヨタ自動車
~売上高29兆円、世界トップクラスの完成車メーカー~
徹底的に研究された無駄のない生産方式で知られるグローバル企業の「トヨタ自動車」。技術系コースで新卒入社した場合、先端研究や生産ライン設計・導入、情報システムなど多様な配属先がある。
修士修了の場合、初任給は22万9000円。3年で基礎固めをするOJTプログラムや海外を含めた研修派遣など、人材育成制度も充実している。柔軟な働き方が選択できる各種制度を整備し、事業所内の託児所も充実。働く従業員のやりがいがうかがえる声も目立ち、全ての項目でバランス良く高得点を獲得している。
「非管理職の労務管理は厳しく、様々なログが監査されるため、無制限に残業できない仕組みがある。仕事量は多いので限られた時間の中で効率良くアウトプットを出すことが必要。休日に出勤する場合は、平日に振替休日を取るか、残業にカウントするか選べる。年休100%消化も必達。ワークライフバランスは大変取りやすいと思う」(生産・製造技術/30代前半男性/年収1000万円/2017年度)
2位:ソニー
~1300社以上の連結子会社を擁するグローバル企業~
テレビやデジカメなどの開発・製造から映画・音楽などのコンテンツ、保険・銀行などの金融に至るまで幅広く事業を展開する「ソニー」。2012年より新卒採用でコース別採用を取り入れ、内定時に大体の配属がわかる仕組みになった。技術系は、細分化すると50種類以上のコースがある。同じ「ソフトウェア設計」でもゲーム、カメラ、スマホ、テレビなど携わる商品により業務が異なるためだ。
エンジニアに特化した表彰・認定制度を用意するなど、技術力を上げるための環境づくりに注力。「自由な社風」という口コミが多く、ストレス度の低さでは1位だった。※連結子会社数は2018年3月末時点で1304社
「私は研究開発でしたが、社服などもなく私服で勤務できていました。また、職場の環境も非常に働きやすいもので、1人分のデスクも他社に比べるとかなり広く、圧迫感なく仕事ができました。働く場所にもよりますが、夏には露店などが出るお祭りみたいなものもやっている職場もあり、とても楽しい雰囲気です」(研究開発/20代後半男性/年収700万円/2013年度)
3位:デンソー
~自動運転分野での開発や協業を加速~
国内外の自動車メーカーに重要電装部品を供給し、世界の自動車産業を支えているメガサプライヤー。これまで生み出した「世界初」製品は100以上、世界で3万8000件の特許を取得している。2018年度は研究開発費に約5000億円を投じる見込みで、開発体制の強化に注力。2019年3月卒業予定の新卒以降、コース別採用を開始する。技術系に関しては、ソフトウェア領域に携わる「モビリティソフトエンジニアコース」、生産技術職の採用を目的とした「モノづくりエンジニアコース」、配属先を限定しない「ポテンシャルコース」がある。
働き方改革に関しては、オフィス部門の全社員約2万人にテレワーク制度の対象を拡充。項目別にみると、「やりがい」「給与の満足度」が高い結果となった。
「給料は、メーカーのなかでは、トップクラスです。十分な額をもらうことができ、仕事量に対しても十分すぎるほどです。大卒なら40歳で1000万円が平均になり、生活するぶんには申し分ありません。査定は公平ですが、そんなに差が出る査定はしません。皆同時に上がっていきますが、優秀な人は出世は早い傾向です」(品質管理/20代後半男性/年収600万円/2017年度)
4位:新日鉄住金ソリューションズ
~さまざまな業界の大手企業がクライアント。研修制度も充実~
新日鐵住金グループに属するシステムインテグレーターとして、コンサルティングからシステム開発、運用・保守に至るまで幅広いITソリューションを提供する「新日鉄住金ソリューションズ」。技術系では「アプリケーションスペシャリスト」「ITスペシャリスト」「研究開発」などの職種がある。深夜残業・休日出勤の禁止を基本に据え、9連休を年に最低1回取得することを奨励する「リフレッシュ連9制度」などを用意。IT系やビジネススキル系の資格取得に対する奨励制度なども充実させている。
「昔は残業がひどかったのですが、最近会社全体の深夜残業禁止の取り締まりで、だいぶ改善されました。休日出勤がなくスポーツ観戦などのポジティブな有休を取れて、かなりプライベートと仕事のバランスが取れたかと思います」(システムコンサルタント/20代後半男性/年収670万円/2014年度)
5位:三菱重工業
~公共性の高い製品が強み、両立支援制度も充実~
船舶、航空機といった輸送機器や、発電プラントをはじめとする社会インフラなどの製造・販売・エンジニアリングを担う「三菱重工業」。産業の基盤となるような製品を多く提供している点が強みで、商業施設やオフィスビルなどの空調システムに不可欠なターボ冷凍機の国内シェアは6割だ。技術系も、研究開発、設計、製造技術、システム開発など幅広い職種がある。働き方改革に関しては、男女ともに私生活と両立させながら柔軟に働けるように各種制度を整備。項目別では「休日の満足度」で高い得点を獲得した。
「比較的給料は恵まれている。そんなに出世しなくても最終的には1000万円プレイヤーになれるのがよい。管理職になると残業代はつかないが、残業を休みに振り替えることのできる制度があり便利です。病気になって定期的に長期休暇を取らなければいけない人もこういう仕組みを使うことで辞めることなく仕事を続けることができ非常にありがたいと思う。給与以外にも、事業所によっては新しいマンションタイプの社宅に安く入居でき快適です。会社へも近い場合が多いと思います」(研究開発/30代前半男性/年収700万円/2016年度)
ニコン「部署によっては残業ほぼゼロ」
6位:ニコン
「どの場所も残業規制がかかる傾向にあるため、減っていると思います。部署によってはほぼゼロのところもあります。休日出勤も基本的にはなく、7月には1週間の夏休みもあるため、プライベートは充実している人が多いです」(研究開発/20代後半男性/年収500万円/2017年度)
7位:パナソニック
「頑張れば年収800万円は30代で到達できる。なおかつ、福利厚生もしっかりしており、年収+100万円は実質支給されると考えられる。マネージャーに昇格できるのはごく一握りの人だが、上がれば1000万円の年収は軽く超えられるとのこと」(研究開発/20代後半男性/年収500万円/2017年度)
8位:野村総合研究所
「昨今の流れで、男性社員でも育休を取っている様子を見かける。また、育休取得を積極的に奨励していく雰囲気も感じる。テレワークにて育児と仕事の両立をしている社員もなかにはいる」(システムエンジニア/20代後半男性/年収780万円/2017年度)
9位:エヌ・ティ・ティ・データ
「最大手の会社のため、新しいチャレンジができる仕事がかなり多い。最新技術を使った仕事が多いのでそのあたりで働いている社員はとても楽しそうな印象がある。会社としても新しい取り組みには積極的な姿勢を見せており、そのあたりはとても共感できる」(プロジェクトマネージャー/30代前半男性/年収700万円/2017年度)
10位:本田技研工業
「福利厚生制度は充実しており満足できるものである。各個人に合った制度を利用できるほか、さまざまなサービスをカバーしている。待遇としても飛び抜けて素晴らしいわけではないが十分満足できるレベルでバランス良く設定されている」(技術関連職/30代後半男性/年収700万円/2017年度)
調査対象は、『日経業界地図 2018年版』(日本経済新聞出版社)に記載があり、対象期間中に「キャリコネ」に職種「技術」のユーザーから10件以上の評価が寄せられた企業。なお対象期間は、2015年4月~2018年3月。