2018年にスタートしたWTCR世界ツーリングカーカップの初代チャンピオンに輝いたガブリエル・タルキーニ(ヒュンダイi30 N TCR)は、今季の戦いがタイトルを獲得した「2009年のWTCCより戦いの激しいシーズンだった」とコメント。また2019年の現役続行にも意欲をみせた。
1962年生まれで現在56歳のタルキーニは、開発ドライバーとしてヒュンダイのi30N TCRプロジェクトに参加。WTCRにはイタリアを拠点とするBRCレーシングからi30 N TCRで参戦した。
そのタルキーニはWTCR初年度となった2018年シーズン、全10戦/30レースで5勝を挙げたほか、計8度の表彰台を獲得。同じヒュンダイを使うライバルのイバン・ミューラーを3点差で抑えて、シリーズ初代チャンピオンを獲得した。
「長く、タフなシーズンだったし、WTCR開幕初年度だったからチャンピオンになりたかった。シーズンの9割くらいはチャンピオンシップをリードしていたからね」とタルキーニ。
「素晴らしい1年だったし、WTCRも素晴らしいものだった。チームスタッフやチームメイト(のノルベルト・ミケリス)に感謝を伝えたい」
「そしてイバン(ミューラー)にもね。彼はシーズンをとおしていい戦いをしていたし、もっともタフなライバルだったよ」
「本音を言えば、(開幕前から)タイトル争いに絡めるだろうとは思っていたんだ。ヒュンダイの速さは知っていたからね。ただシリーズにはノルビ(ノルベルト・ミケリス)、イバン、テッド(ビョーク)と3人のヒュンダイユーザーがいて、誰もが強いドライバーだった」
「シーズンはじめにも言ったように、WTCRは30レースと長い戦いだから、速さのあるドライバーではなく、もっとも運のいいドライバーがチャンピオンになると思っていたよ」
タルキーニは開発から携わってきたi30N TCRでチャンピオンを獲得したことにも言及。「最初からすべてが順調で、最高の形で目標を達成できた。私とチームが成し遂げたことを誇りに思う」と述べている。
またWTCRに変貌する形で2017年に終了したWTCC世界ツーリングカー選手権で2009年にチャンピオンを獲得しているタルキーニは「セアトが強かった2009年(のWTCC)と比べても戦いの激しいシーズンだったと思う」としている。
「2009年より、多くのドライバーと何度もバトルを繰り広げた。それにBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)の影響もあって、トップを快走できるときもあれば、ポイント獲得さえ難しいときもあったからね」
11月15~18日に行われたシーズン最終戦、マカオ大会で幕を下ろした2018年のWTCRだが、すでにドライバーやチームは2019年に向けた動きを加速させている。
アウグスト・ファーフスやネストール・ジロラミといったビッグネームの参戦が噂されているほか、タルキーニとチャンピオン争いを演じたミューラーは現役続行を表明。2019年はシアン・レーシングへの移籍をアナウンスしている。
2019年には50歳となるミューラーが現役続行を決定したことを受けて、2019年の活動プランを問われたタルキーニは「正直に言って、どうなるかは分からない。まずは落ち着く時間が欲しい」としながらも継続参戦に意欲をみせた。
「今、私は56歳だが依然として速さのあるドライバーだし、若いときよりも少しクレバーな戦いができるようになっているかもしれない」とタルキーニ。
「(1984年に)カートでもワールドチャンピオンを獲得しているから、私にとっては今回が3度目のワールドタイトルになる」
「ただ、まだ(レースキャリアを)終わりにしたいとは思っていないから、もしヒュンダイが継続して活動することを認めてくれれば、レーサーとしてのキャリアを続けるだろう」