ポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)がMotoGP第19戦バレンシアGPで、KTMにとってMotoGPクラス初の表彰台となる3位入賞を果たした。天候に翻弄され、転倒者が相次ぐサバイバルレース。エスパルガロは1度の転倒を喫しながら追い上げ、表彰台を手にした。
エスパルガロが転倒を喫したのは、レース1の7周目だった。多くのライダーが水のたまった路面で転倒を喫するなか、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)を追い4番手を走行中だったエスパルガロだったが、7周目の13コーナーで足元をすくわれる。
エスパルガロはマシンに大きなダメージはなかったようで、マシンを起こすと再びレースに復帰した。その後、トップが14周を終えたところでレースは路面状況の悪化により赤旗中断となる。このとき、エスパルガロは7番手にまでポジションを回復していた。
「赤旗は“メッセージ”のようなものだった。大きなクラッシュのあと、バイクはまだ動いていたからね。僕は自分に言い聞かせたよ。『これはチャンスだ』ってね」
14周のレース2をスタートしたエスパルガロは、4番手に浮上すると前を走るバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ・MotoGP)の後ろで周回を重ねる。
「バレンティーノはとても速かったよ。僕はポジションをキープして、(後ろにつく)ダニ(・ペドロサ)とも戦った」
終盤、再び上位陣が脱落する。レース2の10周目、2番手を走行していたロッシが転倒を喫したのだ。4番手を走っていたエスパルガロは3番手に浮上。そのままその順位を守り切り、3位フィニッシュを果たした。
KTMがMotoGPクラスへのフル参戦を開始したのは2017年シーズンだった。2シーズン目の今季、その最終戦で手にした、MotoGPクラスでKTMにとって初めての表彰台。荒れたレースで1度は転倒を喫しながらも諦めることなく戦い、エスパルガロはKTMにポディウムを贈った。
KTMがMotoGPクラスに参戦した昨シーズン当初から、KTMとともに戦い続けてきたエスパルガロ。自身にとっても、今回の3位表彰台はMoto2で獲得した2013年日本GPでの優勝以来のポディウム登壇だった。感慨もひとしおだっただろう。
「信じられないよ。僕にとってもチームにとっても、僕の妻やチームスタッフ、周りの人たちにとっても。ついに今日、KTMにとってすばらしい結果を手に入れた。このプロジェクトのために、どれだけの努力と投資を行ってきただろうか。3位という結果でシーズンを締めくくることができたことに、感動だよ」
バレンシアGPではMotoGPクラスでの初表彰台獲得のみならず、Moto2クラス、Moto3クラスともに優勝を飾ったKTM。最高の形でシーズンを締めくくった。