2018年11月19日 14:22 弁護士ドットコム
内定者にタダ働きをさせる「悪質企業」がいることを、学生の就活支援をする大学側がツイートしたことが話題になっている。11月上旬、大阪府立大(大阪府堺市)がツイッターで「内定者をただ働きで使う行為は違法であり言語道断です。厳に謹んでください」と投稿し、じわじわと共感を呼んでいる。何があったのか、大学担当者に取材して事情を聞いた。
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「内定者を使って、学内で自社宣伝のチラシを配らせたり、キャリアサポート室の許可なく学内で自社セミナーを企画させたりするなど、企業側の目に余る採用活動が目立ってきています。本来採用担当の社員がおこなうべき業務を、内定者をただ働きで使う行為は違法であり言語道断です。厳に謹んでください」
11月8日、大阪府立大キャリアサポート室が投稿したツイートだ。さらに、「もし学生の中で、内定先からの指示で困ったり悩んだりしている人がいましたら、キャリアサポート室に相談に来てください」と続けてつぶやいた。
大阪府立大キャリアサポート室によると、ここのところ、学内で就職セミナーを開きたいとの相談が学生から寄せられることが増えている。当初は「後輩のため」という学生も、キャリアサポート室の担当者が深く突っ込むと「実は人事のひとに言われて」と、内定先企業からの指示や依頼を受けて動いていたことを打ち明けるという。
キャリアサポート室では、こうした学生に対し、「企業としてやりたいのであれば、企業の人事や採用担当者から直接、大学に連絡をするよう伝えてください」と返している。就活では学生優位の売り手市場が続いており、企業の採用は苦戦も懸念される。優秀な人材確保のため、内定者を活用して確実に学生への接点を増やそうとする企業側の思惑がうかがえる。
内定をもつ多くの学生は、卒業後の4月1日から内定先の企業で働き始めるため、学生と企業は「就労始期付・解約権留保付労働契約」を結んでいる状態にあると解釈できる。
今回のような「内定者のタダ働き」は問題が大きい。いまだ就労を始める時期になっていないので、入社日より前の段階では会社が内定者に対して指揮命令をすることはできないと考えられるからだ。
キャリアサポート室の担当者は「内定者は使いやすいと安易に考えられ、内定者の忠誠心が利用されている」。金融機関など複数の民間企業がこうした手法を使ってきているといい、「今回のツイートはあくまでもイエローカード的な位置づけ。これを機に直してくださったら不問に付すが、まだやるようなら厳しい対応を考えないといけない」と話している。
(弁護士ドットコムニュース)