政府は2019年10月から、消費税を10パーセントへ引き上げる。これに伴い帝国データバンクは11月14日、「消費税率引き上げに対する企業の意識調査」の結果を発表した。
「引き上げを予定通り実施すべき」と考える企業が43.4%いる一方、「延期」(12.0%)や「現行維持」(24.5%)、「引き下げ」(6.6%)など、否定的な見方をする企業も43.1%いる。増税への賛否は分かれたままだ。
調査は、今年10月18日~31日の間、全国の2万3076社を対象に実施。うち9938社から回答を得た。
小売業は8割が危機感 農林水産、卸売など他業種を大きく上回る
「増税でマイナスの影響がある」と答えた企業は55.1%に上る。業種別では「小売」(81.2%)で顕著だった。
消費増税の捉え方は、企業規模によって異なる。「予定通り実施すべき」は「大企業」(46.2%)、「中小企業」(42.6%)、「うち小規模企業」(40.4%)と、大企業と小規模企業との間で約6ポイントの差がある。
一方で、「現行維持」(大企業:20.0%、中小企業:25.6%、うち小規模企業:26.2%)や「引き下げ」(同:3.5%、同:7.4%、同:9.8%)では、企業規模が小さくなるほど回答率が高くなった。
業種別では、「小売」(81.2%)は8割が「マイナスの影響がある」と回答した。「農・林・水産」(66.7%)、「卸売」(57.3%)、「不動産」(57.2%)など他業種を上回っている。増税について中小企業からは、
「次世代に社会保障費等の負担を先送りしないようにすることが必要」(不動産代理・仲介、北海道)
「引き上げてもいいが、極力シンプルな制度で引き上げて欲しい」(一般管工事、高知県)
など一定の理解を示す意見のほか、
「景気が上昇している実感はなく、引き上げを保留すべき」(経営コンサルタント、東京都)
と否定的な考えも出ている。
消費税を上げるなら法人税や所得税の減税を
消費増税では、一部の食品で税率を軽くする「軽減税率」が導入される。軽減税率導入に当たり現時点で取っている対応を聞くと、「制度の内容の確認」(41.8%)が最も多く、「影響が生じる事務の確認」(36.7%)、「会計システム等の導入・改修・入れ替え」(23.5%)が続いた。
「政府に優先的に取り組んでほしい政策」は「景気対策」(67.8%)がトップ。次いで、「少子化対策」(37.3%)や「中小企業支援の充実・拡大」(33.2%)、「財政再建」(33.1%)、「税制改革」(32.7%)が 3 割台で並んだ。
中小企業からは増税にあたり、法人税や所得税の大幅な減税を求める声も寄せられている。