TOYOTA GAZOO Racing WRTの指揮を執るチーム代表のトミ・マキネン 11月18日に行われたWRC世界ラリー選手権第13戦オーストラリアの競技最終日。2018年シーズン最後の戦いで、TOYOTA GAZOO Racing WRTはヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合優勝を達成、エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合4位に食い込み、トヨタはWRC復帰2年目でマニュファクチャラーズチャンピオンの栄光を手にした。
グラベル(未舗装路)で争われたラリー・オーストラリアの競技最終日は、サービスパークが設けられたコフスハーバーの北側エリアを中心にSS19~24の6SSで構成。前日夜から断続的に雨が降り続いたため、ステージはすべりやすく難しいコンディションで争われた。
ぬかるんだ路面に多くのドライバーが苦戦するなか、総合2番手につけていたラトバラはSS19でトップタイムを記録。続くSS20ではトップを走っていたオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)がコースオフしたこともあり、トップにおどり出た。
その後もペースを落とさなかったラトバラはSS22~23でも最速タイムを記録してリードを広げると、最終SS24はリスクを避けて5位タイムでフィニッシュ。最終的に32.5秒の大差で2017年2月以来となる2018年シーズン初優勝を飾った。
この2018年シーズン限りでトヨタを離れるラッピはSS21でトップタイムを記録する走りで総合4位を獲得。ラトバラとラッピがトップ4入りを果たしたため、トヨタはマニュファクチャラーズランキングのポイントを368ポイントまで伸ばし、ランキング2位のヒュンダイに対し27ポイント差をつけて、1999年以来となる通算4度目のマニュファクチャラーズタイトルを獲得した。
逆転でのドライバーズチャンピオン獲得を狙ったタナクは、総合トップで迎えたSS20でぬかるんだ路面に足をすくわれてコースオフ。これで総合2番手に後退すると、最終ステージ直前のSS23走行中に立ち木にヒットしてしまい、走行を続行できず、リタイアを余儀なくされた。
■「この成功により2019年に向けた開発のモチベーションはさらに高まる」
「本当に信じられない気分だ。私の記憶にあるなかで、もっとも大変な最終戦だった」と語るのはチーム代表のトミ・マキネン。
「フィニッシュまであと少しというところでオット(タナク)がリタイアとなってしまったのは非常に残念だ。しかし、ヤリ-マティ(ラトバラ)がふたたび勝ってくれたのはとても素晴らしいことだ」
「また、エサペッカ(ラッピ)はポイントを獲得しタイトルに貢献してくれた。我々はこのプロジェクトを3年半前に始めたが、想像以上にはやく進化を遂げたと思うよ」
「去年我々はこのラリーで多くを学び、データを収集した。そして、今シーズンの後半はクルマを大きく進化させることができた。タイトルの獲得は、チーム全員の多大なる努力によって成し遂げられたものだ」
「そして、この成功により2019年に向けて彼らの開発に対するモチベーションはさらに高まると確信しているよ」
シーズン初優勝を遂げたラトバラは「ふたたび勝利を手にすることができて本当にうれしく思う。ひさしぶりの優勝にホッとした」と喜びを語っている。
「最終ステージのスタート前は非常に興奮していたし、神経質になっていたけど、マニュファクチャラーズタイトルを獲得できて、本当に素晴らしい気分だ」
「チーム、そして彼らが作りあげたものを心から誇りに思う。全員の努力と懸命な働きが報われたといえるだろう」
最終SSを前に姿を消したタナクは「このような形でラリーが終わってしまい残念だが、結果的に両選手権に大きな影響は及ぼさなかったと思う。今シーズンの自分たちの戦いには満足しているし、来年も攻めの姿勢で臨むつもりだ」とコメント。
2019年はライバルチームのシトロエンへ移籍するラッピは「チームのマニュファクチャラーズタイトル獲得に貢献してシーズンを終えられたのは、キャリアにとってとても良いこと。私たちを支えてくれたチームの全員に感謝するよ」と語った。
このラリー・オーストラリアで2018年のWRCは全戦が終了。2019年シーズンは1月24~27日に行われるラリー・モンテカルロで開幕する。
この2019年シーズンは、新たにチリがカレンダー入りを果たし全14戦で構成。トヨタはラトバラとタナクに加え、今シーズン半ばまでシトロエンに在籍していたクリス・ミークを加えた3台体制でダブルタイトル獲得を目指す。