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年末調整「そんなの知らなかった」で大損も 提出忘れ、タイムリミットは?

2018年11月18日 11:22  弁護士ドットコム

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今年も年末調整のシーズンがやってきた。会社勤めの人にとっては、経理から言われたとおりの流れで入力したり資料提出したりして、大変な手間にはならない。そのため意味を深く考えずに済ませがちだが、軽視するとかなりの損に。「そんなの知らなかった」と後で文句を言って経理に嫌われないためにも、最低限、知っておいた方がいいことがある。


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●毎月の天引きはあくまでも「仮払い」

「年末調整をバカにしていると、戻ってくるはずの税金が戻ってこなくて、ものすごくもったいないことになります。税金とか年末調整とか何だか小難しいから考えたくない、というのはあまりにももったいないですね」


安藤由紀税理士は、このように語る。


会社勤めの人(給与所得者)は給与明細を見ればわかるが、毎月の給与から所得税などが天引きされている。所得税は本来、1~12月の年間収入額が確定しないと計算できないため、この天引きはあくまでも「仮払い」という位置づけだ。つまり、年末調整することにより、払い過ぎている場合は還付されることになる(不足なら追加徴収される)。


その年末調整の際に、いくつかの書類を出せば、「控除」を受けてさらに税制上のメリットは大きくなる。ここを「面倒だから」と無視していてはもったいないというわけだ。たとえば、「生命保険料控除」や「地震保険料控除」、「住宅ローン控除(2年目以降)」などがある。


このうち生命保険料控除は、保険会社などに対し年間支払った保険料額に応じて、一定の額が所得から差し引かれることで結果的に所得税や住民税が安くなる。2012年1月1日以降に結んだ保険契約(一般)の場合、年間8万円超の保険料を支払っていたら、控除額は4万円になる。さらに介護医療保険料、個人年金保険料も合わせると最高12万円の控除額となる。


●提出遅れ、経理はカンカン

では、もし書類提出の遅れなどで、会社が設ける年末調整の期限に間に合わなかったらどうしたらいいのか。


安藤税理士は「翌年1月末日までなら、基本的には年末調整のやり直しが可能です。でも、単なる控除モレのやり直しをするかどうかは会社の任意です。通常は、締切りを過ぎたら、自分で確定申告してねというところが多いのではないでしょうか。膨大な資料と向き合って疲れがたまっている経理担当者に、義務でない作業をお願いするのは、ハードルが高いと思います。応じてくれたとしても、裏では泣いていますよ。期限は守ったほうがいいですね」という。


この1月末にも間に合わせることができなかった場合は、2月中旬~3月中旬にある確定申告を自分ですることになる。もしこの確定申告もしないなら、損をしてしまうことになるのか。


安藤税理士は「控除モレの場合は、還付申告となるので、5年以内なら提出することができます。2018年のものなら、2023年12月末日までOK。ただ、税金を戻してもらえるのだから、早めにやってしまうことをおススメします。一番いいのは、期限内に年末調整の書類を出すことです」と話す。


●ふるさと納税は「年末調整」できない

ちなみに、地方の特産品などがお礼にもらえて人気の「ふるさと納税」は、年末調整の対象にならない。税制上のメリットである控除を受けるためには、「ワンストップ特例制度」を使うか確定申告をする必要がある。


【取材協力税理士】


安藤 由紀(あんどう・ゆき)税理士


大学卒業後、銀行勤務を経て2008年に税理士登録(簿記、財務諸表論、法人税法、所得税法、相続税法の5科目合格)。大学講師、セミナー、執筆など業務は幅広い。経理初心者向けのわかりやすい解説に定評あり。(ブログ : https://ameblo.jp/ando-tax/ Twitter : @andoyuki_)


事務所名:安藤由紀税理士事務所


事務所URL:http://www.ando.jdlibex.jp/index.html


(弁護士ドットコムニュース)