エン・ジャパンは11月14日、「同一労働同一賃金」に関する調査結果を発表した。調査は今年9月~10月にインターネットで実施し、派遣社員として働く「エン派遣」のユーザー316人から回答を得た。
「"同一労働同一賃金"について知っているか」を聞くと、最も多かったのは「言葉は聞いたことがあるが意味はよく知らない」(40%)、次いで、「知らない」(38%)、「言葉も意味も知っている」(23%)だった。「同一労働同一賃金」について、まだ十分知られていないことが明らかになった。
「同一労働同一賃金」とは、正社員と非正規労働者の間の不合理な待遇格差を解消するため、賃金や賞与、研修制度などの格差を解消するというものだ。この「同一労働同一賃金をどのように感じるか」については、「良いと思う」が74%に上った。
同一労働同一賃金に期待すること 「賞与」「交通費の支給」「給与アップ」
良いと思う理由を聞くと、
「業務内容が同じなのにも関わらず待遇に差が出ることは前々から不満に感じていた点だったので、解消されれば嬉しい」(27歳女性)
「正社員と同じか、それ以上の仕事量をしているのに、給与や賞与で待遇に差が出るのはおかしい。解消されれば仕事へのモチベーションも上がると思う」(32歳女性)
といった、現状の不公平感を訴えるコメントが挙がった。
大手企業は2020年4月から、中小企業は2021年4月から「同一労働同一賃金」を導入することが決まっている。「同一労働同一賃金の導入が進むことで期待すること」を聞くと、「賞与の支給」(80%)が最も多かった。
「ボーナスがないと、生活するのに精一杯になってしまう」(23歳女性)、「賞与があることで、しっかりと評価をされる機会が設けられると思うから」(35歳女性) といった切実な意見が寄せられた。
2番目に多かったのは、「給与アップ」(71%)。「給与が上がれば、働くモチベーションにつながる。もっと給与を上げるために、社内外の勉強会にも積極的にでるようになると思う」(25歳女性)、「給与の格差が埋まれば、正社員の方に感じる壁もなくなると思う」(34歳女性)といったコメントが挙がった。
「給与アップ」と同率で2位だったのが「交通費の支給」(71%)だった。「交通費がかかると、仕事選びも制限が出てきてしまう」(26歳女性)、「交通費が課税対象になってしまっている現状を解消したい」(39歳女性)といった声が寄せられた。
「賃金の差について、仕事上のどのような差なら納得できるか」を聞くと、1位は「仕事への責任の重さ」(69%)、2位は「役職の有無」(67%)、3位は「資格やスキルの有無」(60%)だった。
「正社員にばかり責任ある仕事のしわ寄せがくる」と不安に思う人も
「同一労働同一賃金について、不安なこと・気になること」を聞くと、正社員になりたがる人が減ったり、正社員にしわ寄せがきたりするのではないかという意見が寄せられた。
「今は非正規から正規になりたいと頑張っているが、"同一労働同一賃金"が導入されたら、みんな正社員になりたいと思わなくなるのではないかと感じる」(23歳女性)
「非正規社員の給与を上げるにあたり、正社員の賃金が下がったり、待遇が悪くなってしまうのではないか」(25歳男性)
「正社員にばかり責任ある仕事のしわ寄せがくるのではないか。社員になる必要がないという考え方の人が増え、派遣やバイトといった雇用形態を選ぶ方が増えたら、正社員1人当たりへのしわ寄せが、さらに大きくなるのではないかなと思います」(26歳女性)
「"同一労働同一賃金"には賛成だが、年功序列制度が完全に撤廃されて、能力だけで賃金が決まるようになれば、今度は、能力が発揮できないという理由で、生活が脅かされることになるのではと不安を感じる」(32歳女性)