WEC世界耐久選手権は11月16日、中国・上海国際サーキットで第5戦上海6時間レースの走行初日を迎えた。LMP1クラスに参戦するTOYOTA GAZOO Racingは、各90分のフリープラクティス1、2で7号車トヨタTS050ハイブリッドと8号車トヨタTS050ハイブリッドがトップを分け合うとともに、両セッションでトップ2を独占する順調なスタートを切っている。
前戦富士で2018/2019年シーズン3度目のワン・ツー・フィニッシュを飾ったトヨタは、今季4勝目を目指して中国は上海に乗り込んできた。
その上海の走行初日は朝から雨に祟られる難しいコンディション。2回の練習走行に追加された朝のタイヤテストセッションを含め、すべての走行機会がウエット路面で行なわれた。
また、戦前には今回もLMP1クラスに課せられる“EoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)”調整され、トヨタ以外のノンハイブリッド車勢がより燃料面で有利になっている。
そんななか、中嶋一貴、フェルナンド・アロンソ、セバスチャン・ブエミ組8号車トヨタと小林可夢偉、ホセ-マリア・ロペス、マイク・コンウェイ組7号車は、11時から行なわれたFP1に臨みエアロパッケージやハイブリッドシステムの調整をしながら走行を重ねていく。
セッション終盤には路面が乾いてきたのに合わせてインターミディエイトタイヤを選択。ブエミの駆る8号車が大きくタイムを伸ばしこの日の総合トップタイム、1分56秒354を記録した。
FP1よりも雨量の増えたFP2でも2台のトヨタは順調に確認走行を実施。最後はセッション序盤に8号車の一貴が記録したタイムを7号車のロペスが上回ったが、ウエットタイヤでのアタックとなったためFP1のベストから6秒ほど遅いものになっている。
■小林可夢偉「雨で通常のセットアップ作業ができなかった」
「良い一日だったが、コースコンディションが刻々と変わり大変な一日でもあったよ」と語るのはFP2トップのロペス。
「何種類かのタイヤコンパウンドを試し、今日のようなコンディションでのデータを得られたのは良かった。最後のラップは本当にクルマの感触が良く、満足している」
一方、僚友の可夢偉は「両セッションともにウエットコンディションだったのはちょっと残念です」と生憎の天気を悔やむ。
「このコンディション下でできる限りの作業をこなそうとしましたが、限られた数のウエットタイヤしか使えず、通常通りのセットアップ作業を行うのは困難でした」
「明日土曜日、路面コンディションがどのくらい回復するかを確認しなくてはなりません。明日の公式練習3回目は非常に重要なセッションになるでしょう。そこで可能な限りクルマのセッティング改善を進めるつもりです」
また、8号車を駆る一貴も「雨のレースを想定すると、使用できるタイヤセットが限られているうえに性能落ちも大きく、タイヤのマネジメントに苦労しました」とコメント。
「全般にグリップも弱く、チームはクルマのチューニングと車両セットアップに注力しました。レースに向けて、今日は良い準備ができたと思いますが、僅差の戦いになりそうなので、集中を切らさず戦っていきたいと思います」と語った。
そんな一貴のチームメイトであるアロンソは、WEC上海の走行初日を終えて次のように述べた。
「今日は厳しいコンディションだったが、いつもの金曜日と同様、あらゆる情報収集を行い、どのウエットタイヤがコースにもっとも適しているかを時間かけて分析した」
「週末はおそらく激戦になるでしょう。天気が急変した場合、タイヤを素早く選択し、正しく判断するのが勝負の鍵になると思います」
さらに、初日全体ベストタイムをマークしたブエミもライバルを警戒。
「ノンハイブリッド車とのタイム差は小さいので、厳しい戦いになりそうですが、今日得られたデータを分析し、可能な限り改善していきたいと思います」と語っている。
WEC第5戦上海は17日、9時50分(日本時間10時50分)からFP3が行われたあと、14時00分(日本時間15時)から公式予選が実施される予定だ。