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「日本に行き遺骨で戻ってきた」NZ男性、身体拘束で死亡 遺族は調査要望

2018年11月16日 19:52  弁護士ドットコム

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神奈川県大和市の精神科病院で2017年5月、長時間の身体拘束を受け亡くなったニュージーランド人のケリー・サベジさん(当時27)の遺族と支援団体が11月16日、身体拘束の改善を求める書簡を政府に提出した。提出後、遺族らは東京・霞が関の厚生労働省で会見し、「2度と同じことは起きてほしくない。独立した調査委員会を立ち上げてほしい」と訴えた。


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支援団体は「精神科医療の身体拘束を考える会」(代表=長谷川利夫・杏林大教授)。書簡には、ニュージーランドでケリーさんの主治医だった精神科医を含む計31人の精神科医(外国人30人、日本人1人)が署名した。


●海外では、身体拘束は「最小限」

会見で、ケリーさんの母・マーサさんは、「世界のほとんどの国では身体拘束具の使用を最小限にとどめている」。支援団体などによると、日本では、何日もわたり身体拘束されることがあり、ケリーさんは10日間拘束されていたという。ほかの先進国では、拘束具を使わないか、長くても2、3時間の拘束にとどめているとした。


「署名をした海外の精神科医たちは、日本で長期にわたり身体拘束がおこなわれている現状に驚いていた。国際的な調査委員会を設置して、助言をあおぐべき」とマーサさんは強い口調で語った。


ケリーさんの兄・パトリックさんは、「弟は英語を教えに日本に行ったが、ニュージーランドに遺骨として戻ってきた。このような悲劇はくりかえされるべきではない」と話した。


●すすまぬ調査「一刻も早く改善を」

塩崎恭久厚労相(当時)は2017年7月21日の閣議後会見で、サベジさんが身体拘束で亡くなったことをうけ、「適切な対応を行っていきたい」旨を述べた。しかし、遺族が望むような調査はすすんでいない。


長谷川教授は、「精神病院における身体拘束は一刻も早く改善すべき問題。実態を把握して、2度と同じことが起こらないようにしなければならない」と調査が滞っている現状を問題視した。


※身体拘束に関する記事後半部分について、一部修正をしました(11月18日午後)。


(弁護士ドットコムニュース)