2018年11月16日 10:22 弁護士ドットコム
「私は精一杯家事をして尽くしているつもりです。これ以上を求められてもできないほどです」。夫から過剰に家事を要求されて疲弊している。こんな専業主婦からの相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
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妻は働きたいものの、新婚のため生活に慣れるまでは専業主婦をしています。そんな中、夫は「俺は年収一千万だ。だから一千万の価値のある家事をしてほしい」と主張。疲れて昼寝をしたり、アイロンがけを忘れたりすると、夫は逐一「あれはしたの?」「これはしたの?」とチクチク言ってきます。
妻が夫のきつい言い方をとがめると、発狂するかのごとく大声で「いい加減にせーよー!」と怒鳴り、「あれもできていない」「これもできていない」と言ってきました。
こうした夫の言動は、モラハラ(モラル・ハラスメント)にあたるのでしょうか。和賀弘恵弁護士に聞きました。
モラハラとはどういうものですか
「モラハラとは、言葉や態度による精神的暴力です。加害者は、自分の立場や環境を利用して、侮辱的な発言、横暴な態度をとることによって被害者を攻撃し、精神的に不安にさせたり、恐怖を与えたりして、自分の支配に従わせようとします。加害者や被害者にその認識がなく、家庭という外部の目が届きにくい環境で行われやすいのが特徴です」
今回のケースはどうでしょうか
「まず『俺は年収1千万だ。」と自分の立場を誇示し、1千万の家事をしてほしいなどという抽象的な内容を突きつけ、妻を不安にさせていますので立派なモラハラです。
また、この妻は、妻としての日常家事をきちんとこなしているにもかかわらず、夫は『あれはしたの?』『これはしたの?』などと妻を責めたてて攻撃しています。発狂するがのごとく大声で怒鳴り『あれもできていない』『これもできていない』などと妻を貶める行為もモラハラの典型とも言えるでしょう」
モラハラは離婚原因になりますか
「夫婦間でのモラハラは3段階に分けられると考えています。まず、単なる喧嘩の延長上の発言であったり、頻度が低かったり、家庭生活に影響のない程度のモラハラです。
次は、モラハラの程度がひどかったり、頻度が高かったり、被害者が精神的に追い詰められているなど、夫婦関係の破たんを認定される程度のモラハラです。ここでのモラハラは十分な離婚原因となりえます。この事例の妻も、夫の攻撃の頻度が高く、精神的に疲弊しているようですから、この状態が続けば離婚もできるといえます。
最後に、モラハラの程度が酷く、被害者が精神疾患にかかってしまったなど、損害賠償請求の対象にもなるモラハラです。
この事例を読んで、自分も夫からモラハラを受けていると感じた主婦の皆様は、今後どうしたらよいのかを一度弁護士に相談してみましょう。いつまでも、夫に怯えて暮らしていてはいけません」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
和賀 弘恵(わが・ひろえ)弁護士
大手食品メーカー、行政職員の経験を経て、目の前のただ1人の人を救う仕事をしたいと思い、弁護士を目指しました。現在は、的確な法的解決のご提案に加えて、カウンセリング機能も果たせる弁護士を目指して奮闘中です。
事務所名:みつ葉法律事務所
事務所URL:http://www.mitsuba-law.net