ルノーF1でスペシャルアドバイザーを務めるアラン・プロストは、ずっと以前からダニエル・リカルドを高く評価していたといい、チームに迎え入れることを今から非常に楽しみにしている。プロストは、リカルド移籍の顛末を語り、最終的に契約に至ったのは、リカルド側から積極的にアプローチしてきたからであると明かした。
リカルドはこの夏、ルノーへの移籍を発表し、多くの関係者を驚かせた。しかし最も衝撃を受けたのは、ドライバー人事をすべて決めてきたヘルムート・マルコ博士を始めとするレッドブル首脳陣だった。一方プロストは、「リカルドは当然の決断を下した」と、フランスの「レキップ」紙のコラムで語っている。
「ルノーが莫大な契約金を提示し、リカルドはそれに釣られたかのような報道もあるが、まったくの事実無根だ。何しろ彼とは、去年から話し合いを始めていた。カルロス・サインツがルノーに移籍するより、ずっと前からね。リカルドはルノーに、十分な興味を抱いてくれた。しかしまだ、お互いに時期尚早だった。それで具体的なことは、決まらずに終わった。しかしその後もリカルドは、何度もいろんなことを訊いてきたよ」
「彼がレッドブルに在籍していることに満足しているようには見えなかったというのが、私の印象だった。だからもしメルセデス、あるいはフェラーリに移籍できるチャンスがあれば、喜んでそうしていたはずだ」
「最終的にルノーを選んだのは、そのふたつのチームの可能性がなくなったこともある。しかしルノーで新たな挑戦に立ち向かうことにも、強い意欲を示してくれた。確かにレッドブルに比べれば現状での戦闘力は劣るが、マックス・フェルスタッペンと同等の扱いを受けないことよりはマシだと考えた」
大方の推測とは逆に、この夏の本格的な交渉開始は、ルノーではなくリカルドからの働きかけだったとプロストは言う。
「向こうからやって来たのには、正直ちょっと驚いた。そしてそこから2週間ほどで、すべてが決まったんだ」
プロストのリカルドへの期待は、もちろん大きい。
「今のルノーF1に、優勝経験のあるドライバーが来るのは初めてのことだ。それがチームにとって、大きな時間の節約になることは間違いない。何よりリカルドは素晴しい人柄だし、常に前向きだ。ルノーF1のイメージ全体が、向上することも確かだよ」