今年も11月15~18日に、マカオ市街地のギア・サーキットを舞台に行われる第65回マカオグランプリ。2015年からFIA国際自動車連盟により『FIA GTワールドカップ』に定められてから、年々メーカーのワークスマシンとドライバーで激しい戦いが展開されているレースに、今季初めて日本車+日本人ドライバーの組み合わせとして挑む松田次生に、レース前日の意気込みを聞いた。
昨年は予選レースで多くのマシンがダメージを負う大クラッシュが発生するなど、年々その激しさを増しているFIA GTワールドカップ。今季はやや台数を減らし15台の参戦となったものの、メンバーを見るとGT3レースのトップチームとドライバーの組み合わせがほとんどで、今季も強烈なレースが予想されている。
そんなFIA GTワールドカップに、慣れ親しんだKCMGの2018年仕様ニッサンGT-RニスモGT3で挑むことになった次生は、なんとF3に参戦していた1999年以来のマカオ挑戦。ちなみにその年は4位に入賞している。
「そのときは、たまたま予選でトラブルがあってほぼ最後尾スタートだったんですが、予選レースで大きなクラッシュがあり、4位まで上がったんです。決勝レースは3位だったんですが、当時は合算タイムで結果が争われるので、伊藤大輔さんにわずかに及ばず、4位でしたね」と振り返る。
今回はGT3カーでの戦いとなるが、「F3と比べると車幅も大きいし、スピードもありますからね。とにかく未知数です」とまったく予想できない戦いになると次生は語る。当然シミュレーターでトレーニングは重ねてきたが、やはり走ってみないと分からないところだ。
「山側で言ったら、当たらずに帰って来られるかどうか心配です(笑)。F3だと内側のガードレールに当ててもある程度大丈夫でしたが、GTだと跳ね返ってしまいますからね。でも、19年ぶりなのでまずは様子見です。クラッシュして走れる時間が少なくなるよりはいいですから」
■1990年の復刻カラーをまとって挑む
そんな次生のGT-Rは、今回見慣れぬホワイトをベースとしたグリーンとレッドのラインが入るものになった。実はこのカラーリング、1990年に開催されたマカオ・ギアレースを制した、長谷見昌弘のR32スカイラインGT-Rのものをオマージュした色。当時はカストロールとリーボックのロゴが入ったものだった。
「復刻カラーで乗りますけど、逆に新鮮でいいですよね! 伝統を継いで出させてもらえるのは嬉しいです。この長谷見さんのカラーリングは1990年以来と聞いています」と次生も嬉しそうに語っているが、今季のメンバーの強力さを自覚もしている。
「もちろん長谷見さんのように勝てればいいですが、メンバーもすごいし、簡単じゃないですよね。僕が最下位になってもおかしくないくらい」と次生は言う。
しかし、日本が誇るフォーミュラ・ニッポン、スーパーGT GT500クラスでそれぞれ2年連続チャンピオンを獲得している次生がニッサンのエースナンバーである23を背負うGT-Rを駆るだけに、その期待はますます高まる。
「シミュレーターはやってきましたが、それどおりのタイムが出れば、かなりいいところにいけると思っています」
圧倒的なスピードをみせつけた1990年のR32 GT-Rのような戦いは当然無理だが、ぜひその再現を世界の強力なライバルを相手にみせてほしいところだ。