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F1 Topic:過ちを犯したのはどちらか。フェルスタッペンとオコンの接触を検証

2018年11月14日 11:21  AUTOSPORT web

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オコンに接触されたマックス・フェルスタッペン
F1ブラジルGPでのマックス・フェルスタッペンとエステバン・オコンの衝突は、コース上とコース外の2つの事件が絡み合っているため、一見どちらが正しく、どちらが過ちを犯したのかわかりづらく、さまざまな意見が飛び交っている。そこで、2つの事件を整理して、判断してみたい。

 まず、コース上での接触だ。レギュレーションではたとえ周回遅れのマシンであっても、同一ラップに戻るために前のマシンがラップリーダーだったとしても、オーバーテイクして良いことになっている。

 あのとき、オコンはタイヤを新品のスーパーソフトに変えたばかりで、14番手を走行していた。逆にその5周前にピットインしてソフトタイヤで走行していたフェルスタッペンは、トップを走行。そのタイヤでチェッカーフラッグまで走り切ろうとしていたので、ペースをコントロールしていた。

 これがラップリーダーのフェルスタッペンより、周回遅れオコンが速いペースで走行するといういびつな状況を生み出してしまった。

 レースでは、たとえ周回遅れになったドライバーでも、周回遅れにされたドライバーを抜くことは許されている。オコンとフォース・インディアが主張は、この点に関しては間違っていない。

 しかしそれは、バトルのない状況で安全で確実に行わなければならない。つまり、周回遅れのドライバーがコース上で同一周回に戻るためのオーバーテイクには、バトルがあってはならないのである。

 したがって、「僕はピットを出た後、ほぼ2周にわたって彼の後ろについていた。僕のほうが速かったから、チームが周回を戻するようにアドバイスしてくれた。それでフェルナンド(・アロンソ)や他の人たちを抜くときと同じように、1コーナーでアウトから抜こうとしたんだけど、マックスは全くスペースを空けてくれなかった。あれは僕のコーナーだったし、僕に権利があった」というオコンの主張は、認められない。

 なぜなら、周回遅れのドライバーがラップリーダーとバトルして抜くことは許されていないからだ。

 フェルスタッペンに青旗が出されていたという情報もあるようだが、レース中の青旗の有無を記録する『レースコントロール・メッセージ』には、フェルスタッペンに対して青旗が出された(正式にはインテルラゴスは電光掲示板による表示のため旗を振るのではなく、点灯だが)事実は残っていない。

 確かに青旗はフリー走行や予選においては、後ろから速いマシンが迫ってきたときに、前方にいる遅いマシンに出されるときもあるが、レースでは周回遅れになる(またはなっている)マシンと、ピットアウトするマシンに本コース上を別のマシンが通過しようとしていることを知らせるタイミングでしか出されることはない。

 つまり、フェルスタッペンには青旗は出されておらず、オコンに譲る義務もなく、自分のペースでレースを続行する権利があった。したがって、コース上での一件は、オコンに過失があり、フェルスタッペンが非難を受ける筋合いはない。

■車検場での小競り合い。フェルスタッペンへの罰は重すぎか
 次にコース外での小競り合いだ。ホーナーの「暴力を肯定してはならないが、状況を見れば、もう少し寛大な処分であっても良かった」という主張に同感だ。確かにほかのスポーツではプレー中の暴力に対しては厳罰処分が下される。

 アメリカのプロバスケットボールのNBAでは今年の10月に行われたロサンゼルス・レイカーズとヒューストン・ロケッツの試合で乱闘騒ぎがあり、3選手が退場処分し、さらに2~3試合の出場停止処分も科せられた。

 ただし、この乱闘事件は相手にツバを吐きかけたり、指で目つぶししようとしたり、拳で相手の顔面をパンチするというかなり悪質なものだった。それに比べて、今回のフェルスタッペンの行為は乱闘でもなく、暴力というほどの危険な行為ではないように思う。

 もし、フェルスタッペンが近寄ってきたときにオコンが「優勝を台無しにして悪かった」と謝罪していれば、フェルスタッペンもあそこまでエキサイトはしていなかったのではないか。

 オコンは「レースの後の彼(フェルスタッペン)の振る舞いには驚かされたよ」と語ったが、むしろ驚いたのは小突かれたオコンが「自分はまったく悪いない」といった表情を見たフェルスタッペンだったのではないだろうか。