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関ジャニ∞ 大倉忠義の勇気ある行動がつなぐ、関西ジャニーズJr.の未来 警告後のラジオを聞いて

2018年11月14日 10:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 関ジャニ∞ 大倉忠義とシンガーソングライターの高橋優がパーソナリティを務めるラジオ『オールナイトニッポンサタデースペシャル 大倉くんと高橋くん』(ニッポン放送)。30代男子の飾らないトークを繰り広げるこの番組は、ふたりの限りなくプライベートに近い会話を聞いているような気分になる。繊細な高橋が日頃感じているモヤモヤを、大倉が一緒に紐解いていく様子は、なるべく周囲を傷つけないように、と平和主義を貫く大人であれば「あるある!」と思わず膝を打ちたくなるものばかり。大倉の切れ味のいい意見に「よくぞ言ってくれた!」と胸がスカッとする場面も少なくない。


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 そんな大倉が、ジャニーズ公式携帯サイト『Johnny’s web』で、執拗なつきまといをする人たちへの苦言を呈したのが11月8日のことだった。なかでも「これを書くことで喜ばせるかもしれない」という文言は、再三の注意も徒労に終わってきたことを伺わせる。こうした意見を発信すること自体、ルールを守るファンはますます心を痛め、ルールを守らない人たちの認知がどんどん歪んでいくこともわかっているのだろう。しかし、それでも“無視という最大の抵抗”では終わらせられないものがあったに違いない。特に大阪での番組に行くのが憂鬱だ、という詳細な内容も。愛するふるさとへ戻ることが苦痛になるほどのストレスとはどれほどのものか。「そろそろ限界だ」の文言が重い。


 そんななか11月10日の生放送に、大倉がどんな声色で登場するのかと注目が集まった。オープニングでは、おなじみの飯テロトークに花が咲き、その後もゲップが出たことを報告したり、白髪が生えてきたという話になったりと、人間味溢れる会話が印象的だった。いつも通りのテンションに安堵していたが、イルミネーションデートの話題になると「行きません。誰が見てるかわからんし」と、本音をこぼす一幕も。例の苦言を意識したかどうかはわからないが、少なくとも依然として外を歩くことに抵抗を持っていることが伝わってきた。


 この秋、大倉は横山裕と共に、後輩の関西ジャニーズJr.のステージに構成・演出で参加。久しぶりに関西Jr.の舞台を見た時、東京に比べて目が行き届いていないように感じた大倉は、「自分のそのころとリンクして、お手伝いできることがあればお願いしたいです」と手を挙げたと明かしている。「僕らが関わらせてもらうことで、ちょっとでも話題になったらいいな。踏み台にしてほしいなとか思いながら」とも。さらに「愛情わいてきますよね。そりゃ。ずっと50人のことを考えてるわけじゃないですか。どうしてあげたらいいのかなとか」と、父性に近い感情が芽生えていることも番組で話していた。


 ここからは個人的な見解だが、大倉が特に大阪での過剰なつきまといに対して厳しい言葉を投げかけたのは、関西ジャニーズJr.への親心という一面もあるのではないだろうか。「自分たちがJr.のころ悔しい思いをしてきた」という思いから、何か手伝わさせてくれと名乗り出たように。自ら、この難しい問題に一石を投じることで、これから人気者になる後輩たちが同じような苦しみを味わうことが減るように、と願っての行動だったのでは、と考えてしまう。


 私たちは、毎日異なる正義を主張したり、引っ込めたりして、なんとか社会を保っている。大倉と高橋が、この番組で見せてくれるように、ときには「なんなの?」と憤り、ときには「もっとこうすればよかった」と心を痛めて、どうにかこうにか平和に過ごせるように工夫していくのが人生だ。だからこそ、ルールは正義を引っ込める側ばかりにまわってしまう人たちを守るためにあるべきなのである。だが、大倉の言う通り少数派のためのルールを作るのは難しい。民主主義において、多数決はあまりにも便利すぎる。エゴを強く主張した人が勝ちでは、声の小さい人が苦しみ続けることになる。メディアの希望は、光が当たっていない部分や、たった一人の悲痛な叫びを広めることだ。


 大倉の勇気ある行動から、関西ジャニーズJr.へのチャンスが、そしてアイドルたちを取り巻く環境が、変わっていくことを願ってやまない。そして、同番組には変わらず大倉が高橋とゲラゲラと笑い声を響き渡らせるのを期待している。関ジャニ∞が大阪を想って作った歌「All you need is laugh」で歌われるように。大倉にとって大阪も、この番組も、疲れたときに笑い帰る場所であり続けてほしい。(文=佐藤結衣)