トップへ

Valve製VRヘッドセットの画像が流出 2019年は次世代VRヘッドセットが続々リリースか?

2018年11月14日 08:32  リアルサウンド

リアルサウンド

 2016年の「VR元年」から2年が経過し、今年には本格的スタンドアロン型VRヘッドセット「Oculus Go」がリリースされて成熟しつつあるVR市場に新たな動きがありそうだ。あのインディーズゲームプラットフォームを運営する企業が、VRヘッドセット市場に参入するかもしれないのだ。


(関連:『ファンタビ』『ミッション:インポッシブル』……ハリウッドの第一線の制作現場をVRで堪能


Knucklesコントローラーに対応


 VR専門メディア『Upload VR』は、10日、インディーズゲームプラットフォーム「Steam」を運営するValveが開発していると思われるVRヘッドセットが撮影された画像が流出したことを報じた。流出した画像は、画像共有サイトimgurに掲載されたものである(トップ画像参照)。


 同ヘッドセットの仕様に関しては、視野角は135°、と噂されている。この数値は、Oculus RiftとViveの視野角である110°より広いものだ。また、Valveが開発・提供している人間工学にもとづいたVRコントローラー「Knuckles」に対応しているとも言いわれている。さらに、リリース時には人気FPSシリーズ「Half Life」のVRタイトルがバンドルされるようだ。なお、同シリーズのVRタイトルは現時点では存在しないのだが、有志がVR対応MODを開発中である。


ヘッドセット内蔵センサーでAR体験が可能?


 Upload VRが公開した記事では、流出した画像から確認できるVRヘッドセット下部のふたつの内蔵カメラに注目している。このカメラは、inside-out型のトラッキングに使われるのではないか、と推測される。inside-out型のトラッキングとは、VRヘッドセットのトラッキングのために外部センサーが不要なシステムのことを意味する。このシステムの対義語となるのがoutside-in型で、現在のOculus RiftやViveのように外部センサーを必要とする。


 件の内蔵カメラに関してはVR専門メディア『Road to VR』が9日、独自の見解を示した記事を公開した。同メディアは、ふたつの内蔵カメラはAR体験に活用される可能性があることを指摘している。つまり、このカメラによって現実の空間を撮影し、その撮影された現実の空間をVRヘッドセットから見えるようにしてVRオブジェクトを重ねる、というわけである。この指摘が本当だとすると、件のVRヘッドセットがHoloLensやMagic Leap Oneを使った時と類似した体験をも可能にすることになる。


 以上のVRヘッドセットのリリース時期に関しては不明だが、Upload VRの記事は流出画像に写りこんでいるPCのディスプレイに表示された日付が今年7月になっていることから、現在はもっと開発が進んでいるはず、とコメントしている。


2019年リリース予定のVRヘッドセット


 Valve製VRヘッドセットのリリース時期は不明ではあるが、その一方で2019年には多数の次世代VRヘッドセットのリリースが期待されている。


 来年リリースされるVRヘッドセットでもっとも大きな期待を寄せられているのが、スタンドアロン型VRヘッドセット「Oculus Quest」だ。このVRヘッドセットは、同じくスタンドアロン型VRヘッドセットであるOculus Goの上位互換機とも言えるものだ。具体的には、Oculus Riftと同じ6自由度の専用コントローラーに対応することで、Oculus Goを超える没入感のあるVR体験を可能とする。


 また、US版Tech Crunchが先月報じたところによると、「Rift S」と呼ばれるVRヘッドセットが来年リリースされる可能性がある。同ヘッドセットは、Oculus Riftのアップデート版と位置づけられており、外部センサーが不要となるinside-out型のトラッキング方式を採用するようだ。同ヘッドセットがリリースされた場合、Valve製VRヘッドセットの競合製品になると予想される。


 Oculus RiftのライバルであるViveシリーズからは、スタンドアロン型VRヘッドセット「Vive Focus」がリリースされる可能性がある。同ヘッドセットは今年1月に中国限定でリリースされていたのだが、10月に日本でも法人向けに販売開始されることになった。VR市場の動向によっては、同VRヘッドセットの一般消費者への販売が実現するかも知れない。


 以上のように、VRヘッドセットは着実に購入の選択肢が広がりつつある。そして、確かにVR市場は黎明期のようなインパクトはなくなったものも、むしろ成熟しつつあるのだ。


(吉本幸記)