WEC世界耐久選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racngは11月16~18日、中国の上海国際サーキットで開催される2018/19年“スーパーシーズン”第5戦上海6時間レースで今季4回目の総合優勝を目指す。
全8戦で争われるWECスーパーシーズンは、この第5戦で折り返しを迎えるが、同時に上海ラウンドは2018年最後のレースとなる。
トヨタは前戦の富士で小林可夢偉、ホセ-マリア・ロペス、マイク・コンウェイ組7号車トヨタTS050ハイブリッドが勝利を挙げたことで、開幕2連勝を飾った中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、フェルナンド・アロンソ組8号車トヨタTS050ハイブリッドとあわせて今季3勝目をマーク。
チームランキングで争うLMP1プライベーターのレベリオン・レーシングとの差を14ポイントに広げるとともに、ドライバーズランキングでも8号車組と7号車組がランキング首位、同2位に並んだ状態でアジアラウンド2戦目の上海に乗り込むこととなった。
その上海とトヨタの相性は過去6戦3勝という戦績が物語るように、“母国”富士ラウンドに次ぐ好相性といえる。直近の性能調整によって、ふたたびLMP1ノンハイブリッド勢にスピードが与えられることとなったが、トヨタは持ち前の高いチーム力と優れたハイブリッドパワートレインがもたらす強烈な加速力を武器に今季4勝目、4回目のワン・ツー・フィニッシュを狙う。
■村田久武チーム代表「2019年のル・マンを見据え、ここから再出発する」
「上海6時間レースに向けて、ここ数週間、全力で準備をしてきました」と語るのはチームを率いる村田久武代表。
「TS050ハイブリッドは過去の4戦で速さを示してきましたが、ちょっとしたミスや技術的な問題が世界チャンピオン獲得のために大きな障害となってしまうからです」
「一方、上海は2018/19“スーパーシーズン”後半戦の始まりのレースでもあります。2019年のル・マンを見据え、我々の弱い部分を継続して改善し、より強くなってル・マンに戻るべく、この地から再出発します」
前戦富士で劇的な逆転勝利を収めた7号車トヨタの可夢偉は「富士での今季初勝利の後だけに上海でのレースがとても楽しみです。過去のレース経験から、僕らのクルマは上海のコースに向いていると思っていますし、また力強いレースが見せられることを期待しています」と語った。
「ただ、富士でノンハイブリッド勢がかなり良いラップタイムをマークしてきているので、僕たちもミスは許されません。富士で今季初勝利を挙げられたのは最高でしたし、中国でもさらなる勝利を目指して戦えればと思っています」
■アロンソ「僕らの目標は現在のリードを、上海でさらに広げること」
可夢偉のチームメイトであるコンウェイは「今からシーズンの後半戦というのが少し信じ難いけど、つまりはこれからも多くのトロフィーとポイントを獲得するためチャンスがあることを意味している」と現在、獲得ポイントで先行する8号車組を捉える姿勢をうかがわせる。
「(小林)可夢偉とホセ(-マリア・ロペス)、そして僕の3人が富士で得た勝利という最高の美酒を、もう一度味わいたいというのはもちろんだけど、つねに努力を続けて最高のクルマを用意してくれているチームのためにも、またワン・ツー・フィニッシュを果たすことが最大の目標なんだ」
一方、自身3つめの世界選手権タイトル獲得を狙うアロンソは次のように述べた。
「上海も面白いレースになるだろうと思っており、楽しみにしているよ。チームのハードワークのおかげで、僕たち(8号車組)はチャンピオン争いで良い位置につけることができている」
「しかし、僕らの目標は上海でそのリードをさらに拡げることだ。いつもどおり、簡単なことではないだろうが、シーズン後半戦へ向けて、またワン・ツー・フィニッシュという完璧なスタートを切れるようプッシュを続けて行く」
そんなアロンソとブエミとともにマシンをシェアする一貴は、上海での戦い方について「トリッキーなコースレイアウトで、特に混雑時の追い越しが難しい」とコメント。
「遅いクルマの後ろに付いてしまうとタイムをロスしやすいですし、ラインを外すと多くのタイヤかすが待ち受けています」
「これらの要素もあり、さまざまなことが起こるエキサイティングなレースになることは間違いありません。ですから、レースの間も冷静さを保ちプッシュしながらも着実にレースを戦っていこうと思います」
4クラス合計35台、LMP1クラスではトヨタの2台を含む計8台が参戦するWEC第5戦上海は11月17日に予選が、翌18日に6時間決勝レースが行われる。