2018年11月12日 10:52 弁護士ドットコム
東京ディズニーランド(千葉県浦安市)で着ぐるみをかぶってショーなどに出演していた契約社員の女性2人が、過重労働やパワハラで心身に苦痛を受けたなどとして、運営会社オリエンタルランドに対し、計約755万円の損害賠償を求める訴訟を千葉地裁に起こしている。第1回口頭弁論は11月13日に開かれ、2人は意見陳述を行う予定だ。
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訴状によると、提訴は7月19日付。30代の女性契約社員は2008年4月に入社し、キャラクターコスチュームを着てショーに出演していた。13年1月から18年3月ごろまでの間、上司から複数回のパワハラを受けたと主張している。
例えば、13年1月ごろ、来場客と記念撮影などを行う「グリーティング」中に客(成人男性)から故意に右手薬指を反対側に折られて負傷した。上司に労災申請への協力を求めたところ、「エンター(エンターテイナー)なんだからそれ位我慢しなきゃ」「君は心が弱い」と協力を拒絶されたという。
また、16年1月ごろには、「ショーベース(舞台)には神様がいるんだから、お前は神様に嫌われているから3カ月後に絶対怪我するから覚えておけ」、喘息がおこると相談したところ「30歳以上のババァはいらねーんだよ。辞めちまえ」「病気なのか。それなら死んじまえ」などと言われたという。さらに、2017年1月ごろにバックステージで過呼吸を繰り返した際には「次に倒れたら辞めてもらう」と言われたとしている。
もうひとりの原告である、20代の女性契約社員は2015年2月に入社。着用するキャラクターコスチュームは、給水袋や冷却剤なども含むと10~30キロほどの重量で、女性はいずれも特に両肩に負担がかかるものだったと指摘している。
女性はショー(1回40~45分)やグリーティング(1回20~30分)などの業務を行なっていた。どしゃぶりにならない程度であれば、雨が降ってもショーやグリーディングが行われた。雨を吸ったコスチュームはより重くなり、より身体に負荷がかかったという。
女性は2017年1月に、肩や腕にしびれが生じる「胸郭出口症候群」を発症し、同年7月に船橋労働基準監督署から労災認定を受けた。ショー・パレード出演は、発症直前の11月は22回、12月は28回と前年の同じ期間に比べて2倍近くあったという。
20代女性は「健康状態に応じて業務内容を軽減すべき義務を怠った」、30代女性は「パワハラに対して適切な措置を講ずる義務を怠った」などとし、ともにオリエンタルランドが安全配慮義務に違反したと主張している。
オリエンタルランド広報部は弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「係争中の案件のためコメントは差し控えさせていただきます。当社の見解は訴訟手続きの中で明らかにさせていただきます」とコメントした。
(弁護士ドットコムニュース)