11月11日現地時間午後3時10分、ブラジルGP決勝が行なわれメルセデスのルイス・ハミルトンが優勝を飾った。日曜のインテルラゴスは晴天に恵まれ暑くなったが、午後になって雲が増えレーダー上にはサーキット周辺に雨雲も見える。気温は24度、路面温度は39度。降水確率は40%。
予選中の車重計測時にエンジンを切らなかったセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が審議対象となったものの戒告と罰金だけで難を逃れ2番グリッドを失わずに済んだ。
予選中に不必要にスロー走行したと審議対象になったケビン・マグヌッセン(ハース)とセルゲイ・シロトキン(ウイリアムズ)も戒告処分のみとなっている。予選6番手のダニエル・リカルド(レッドブル)は金曜のTC(ターボチャージャー)投入で11番グリッド、エステバン・オコン(フォース・インディア)は土曜のギヤボックス交換で18番グリッドに降格となった。
予選Q2の結果を受けて上位勢ではフェラーリ勢だけがソフトタイヤでスタート。10番グリッドのマグヌッセン以下はスーパーソフトタイヤのセルジオ・ペレス(フォース・インディア)とミディアムタイヤのブレンドン・ハートレー(トロロッソ・ホンダ)以外は全車がソフトタイヤを選んだ。
決勝はブリスター対策のため第2スティントでミディアムに履き替えての1ストップ作戦が中心になると予想されるが、レッドブルだけはミディアムの新品を持っていない(FP1のインストレーション走行で1周だけ使ったもの)。ベッテルはフォーメーションラップのスタートで出遅れ充分なスタート練習ができなかったが、なんとか隊列に戻り正規の2番グリッドに就いた。
スタートでベッテルは加速が僅かに鈍く、さらにターン1でロックアップする間にバルテリ・ボッタス(メルセデス)がアウト側から抜き去って2番手に浮上する。
後方ではターン4でマーカス・エリクソン(ザウバー)とロマン・グロージャン(ハース)が絡んでコースオフし、その間にピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)が前へ。
上位は首位ハミルトン、2番手ボッタス、3番手ベッテル、4番手キミ・ライコネン(フェラーリ)、5番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の順になるが、フェルスタッペンは果敢に攻めて3周目のターン1でライコネン、4周目のターン1でベッテルを抜いて3番手に浮上。
ベッテルはターン4でロックアップしてワイドになりライコネンにも抜かれて5番手に落ちてしまう。6番手はリカルド、7番手シャルル・ルクレール(ザウバー)、8番手グロージャン、9番手ガスリー、10番手マグヌッセンという順になった。後方では2周目のターン11でルノーカルロス・サインツJr.がアウトからニコ・ヒュルケンベルグを抜いてチームメイト同士で接触するが事なきを得た。
フェルスタッペンの勢いは止まらず10周目のターン1でボッタスのインを突いてパスし2番手に浮上。ボッタスはペースが落ちライコネンも襲いかかっていく。後方ではマグヌッセンがガスリーを12周目のターン1~2でパス。マシンにダメージを負っているエリクソンはペースが上がらず、ターン2でバランスを崩し14番手まで大きく順位を落としてしまう。
15周目にフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)がピットインし、翌周シロトキン、その翌周にはランス・ストロール(ウイリアムズ)もピットインしてミディアムに換えると、18周目にはボッタス、19周目にはハミルトンがピットに飛び込んでミディアムに交換する。
これに対し首位に立ったフェルスタッペンは1分13秒599のファステストラップを記録する。エリクソンはマシンのダメージが酷く、20周目のターン6~7でリヤが流れてスピンオフ。そのままピットインしてリタイアを選んだ。
ピットインしたハミルトンは最速タイムを塗り替えながらフェルスタッペンとの実質的な差を広げていく。まだピットインしていないグロージャン、ルクレールを抜きながら走るが、徐々にタイヤのフィーリングは悪化していきペースが上げられず、スーパーソフトのままステイアウトするフェルスタッペンに対して苦しい展開になる。
27周目にベッテルがピットインしてボッタスやハース勢の後方9番手でコース復帰。31周目にはライコネンもピットインしてミディアムに換え、6番手まで上がったベッテルの後方7番手で戻る。ヒュルケンベルグは32周目にピットに戻りリタイアを余儀なくされる。
35周目にフェルスタッペンがついにピットインしてハミルトンの3秒後方に戻るが、ここで履いたのはソフト。フェラーリはなかなかボッタスを攻略できないベッテルに対しライコネンを先行させるように指示。しかしライコネンもなかなかパスできずに苦しむ。リカルドは39周目にピットインしソフトに換えてベッテルの後方に戻りプッシュしていく。
39周目から40周目のメインストレートでハミルトンに追い付いたフェルスタッペンは一気に前に出てハミルトンから首位を奪い取る。しかし44周目のターン1で周回遅れのオコンと接触してスピンオフ。
再びハミルトンから5.5秒差の2番手に後退してしまったうえにマシンにダメージを負い大幅にダウンフォースを失ってしまう。さらにライコネンがフェルスタッペンに襲いかかり46周目のターン1でインを窺うが、フェルスタッペンはなんとか2番手を守る。しかしハミルトンもパワーユニットを守るためペースを上げることができず両者は苦しい戦いになる。
49周目、スタートからミディアムで引っ張り11番手まで上がったハートレーがピットイン。スーパーソフトに換えてガスリーの12秒後方12番手へ。53周目、リカルドに抜かれ6番手に落ちていたベッテルはこれ以上ペースが上げられないと判断しピットインして予選で使ったスーパーソフトに交換する。ルクレールのすぐ後方7番手に後退するが58周目のターン1でこれを抜いて6番手に戻る。
59周目のターン1でボッタスはリカルドに抜かれて5番手に後退。これで観念したボッタスはピットインして新品ソフトに履き替えベッテルの前5番手のままでコースに戻る。ボッタスはファステストをマークしてベッテルを引き離していく。
後方では11番手、12番手のトロロッソ・ホンダ勢がドライバースワップをさせようするがガスリーは抵抗し69周目にようやく順位を入れ換え、後方のサインツを何とか抑え込む。
2番手のフェルスタッペンはマシンに受けたダメージのためタイヤを労ってペースが上げられず、パワーユニットを労るハミルトンに1.469秒差まで追い付くのが精一杯。
ハミルトンがブラジルGPをポール・トゥ・ウインで制した。2位はオコンに対して怒りを露わにするフェルスタッペン、3位にライコネン、4位リカルドまでが5.193秒という接戦だった。5位ボッタス、6位ベッテル、中団トップは7位ルクレール、8位グロージャン、9位マグヌッセン、10位ペレスという入賞圏で、ハートレーは11位、ガスリーは最後にサインツに抜かれて13位でのフィニッシュとなった。