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石浦、平川と激戦演じたジェンソン・バトン「10歳くらい歳を取った気分。それくらいのプレッシャー」

2018年11月11日 22:11  AUTOSPORT web

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マシンを降りた直後、喜びを露わにしたジェンソン・バトン
11月11日に行われた2018年のスーパーGT最終戦、第8戦もてぎ。決勝を終えて、スーパーGT500クラスのシリーズチャンピオンに輝いたRAYBRIG NSX-GTの山本尚貴とジェンソン・バトン、チームの高橋国光総監督がシーズンをふり返るとともに、チャンピオン獲得の喜びを語った。

RAYBRIG NSX-GT
山本尚貴
「(序盤は)8号車(ARTA NSX-GT)とのバトルになって、8号車はペースがすごくよかったけど、なんとか食らいついていきました。燃料が軽くなってからは、(自分も)かなりペースがよくなって8号車に追いつけたのですが、予想以上に8号車がピットインするタイミングが早かったので驚きましたね」

「本来なら8号車が入った次の周などにピットインしたかったですけど、チャンピオン争いをするなかで今回見なければならなかったのが1号車(KeePer TOM’S LC500)でした」

「僕たちが早めに動いてタイヤ交換をしてしまうと、もしかすると彼らがタイヤ交換をせずにピットを終えて、僕たちの前に出てくる可能性もあったので動くに動けず、結果、ピットを引っ張ることになりました」

「1号車と同時にピットインすることになりました。彼らもタイヤがキツかったのか、そこまでギャップもなかったので同じタイミングでタイヤ交換をして同条件で戦えば僕たちに勝てるという勝算があったのかもしれません」

「ここまで追い上げてきたのはトムス、レクサス勢の力だったと思います。JBも最後は辛かったと思いますけど、最後はJBの実力で踏ん張って抑えてくれたと思います。本当に彼に感謝ですね」

(ふたつのカテゴリーでタイトルを獲得したのは2004年のリチャード・ライアン、日本人では2003年の本山哲以来ですが?)
「まさかあの本山選手に続いて(ふたつのタイトルを獲得した日本人)ふたりめのドライバーになれるとは夢のような話です。言葉にできないくらい、すばらしい成績を残すことができたと思います」

「スーパーフォーミュラに関してはシングルシーターで、僕ひとりのがんばりで結果が大きく左右されるものですが、特にスーパーGTに関してはパートナーの存在がとても大きなカテゴリーです。JBの力があったからこそ、GT500のタイトルを獲れて、ふたつのカテゴリーでタイトルを獲れたと思います」

「レースを長いことやっていても、ふたつのカテゴリーでタイトルを獲得する権利を持つことができるドライバーは限られていると思います。それをさらに結果に結びつけられるのも、限られています。そういった意味では、今はそれを達成できたよろこびもあります」

「レースに来る前から、ふたつのカテゴリーでタイトル獲得の可能性があるのはリチャード(ライアン)以来、14年ぶりのことで、日本人で達成したのは本山さんだけということも分かっていました。スーパーフォーミュラ(最終戦)の週末から3週間くらい、自分の身体がまるで自分のものではないような感覚でしたね」

「自分自身が嫌いになるような行動や仕草もありました。それくらいストレスも感じていたし、苦しかったです。でも僕以上に緊張してストレスを感じているスタッフやメカニックがいたでしょうから、そういう人たちのためにも、今週末いい結果を得られたのでこれ以上ない幸せを感じています」

「来季に関しては、まだ具体的なことは言えないです。みなさんが何を求めているのかは分かっているつもりですけど、今はスーパーフォーミュラとGT500の両タイトルを獲れたよろこびでいっぱいなので、それだけにさせてください」


ジェンソン・バトン
「自分のスティントを終えて、10歳くらい歳をとった気分だよ。それくらいのプレッシャーだった。ナオキ(山本尚貴)のファーストスティントは素晴らしい走りだったね」

「僕たちは1号車(KeePer TOM’S LC500)との戦いで、どちらが先にピットインするのか、お互いに意識ながら争っていて、結果的になかなかピットインせず、どんどんポジションを下げてしまうのではないかと少し心配したけど、結局はおなじタイミングでピットインして、38号車(ZENT CERUMO LC500)の後ろでコースに戻った」

「その時は(レクサス陣営に)やられたと思ったよ。3ラップくらいは38号車をオーバーテイクしようとしたけど、イシウラ(石浦宏明)さんのブロッキングは素晴らしかった。戦っていて、楽しかったよ」

「(石浦が)かなりレイトブレーキで走っているのを見て『僕も走りを改善しなきゃな』と思いながらチャンスをうかがっていた。あの戦いを見て、ナオキはナーバスになっていたかもしれないね」

「ただオーバーテイクを仕掛けようとした結果、ピックアップが起きてしまったんだ。タイヤを綺麗にするのに、2周くらい費やしてしまったよ。そうしている間に1号車に追いつかれてしまった」

「チャンピオンがかかっているときのバトルはいつでもタフなものだ。後ろのマシンが速く感じられるほどさ。1対1でレースしていれば問題ないけど、トラフィックが絡んでくると話は変わってくる」

「外から見ているよりも、実際にはいいペースで走ることもできたけど、とにかく(コース上での)ポジション取りを意識していた。かなりタフな戦いだったけど、チェッカーを見たときは本当に安心したよ」