2018年シーズンのスーパーGT最終戦となる第8戦のスーパーGT300クラス決勝が11月11日、ツインリンクもてぎで行われ、黒澤治樹と蒲生尚弥がドライブしたLEON CVSTOS AMGが優勝。ランキングトップだったARTA BMW M6 GT3が9位に沈んだことで、12ポイント差を逆転してチャンピオンに輝いた。
前日の公式予選ではマネパ ランボルギーニ GT3の平峰一貴が自身初のポールポジションを獲得する結果となったGT300。チャンピオン争いを展開する6台のなかではLEON AMGがフロントロウに並んだのに対し、ARTA BMWは10番手と後方からのスタートとなった。
また、スタート前には植毛GT-Rがピットに戻り、さらにマッハ車検 MC86 Y’s distractionがパレードラップに参加できずピットレーンからのスタートとなっている。
迎えた最終戦の決勝スタート、ローリングスタートから各車1コーナーに向かっていくと3番手スタートのグッドスマイル 初音ミク AMGがインからLEON AMGを交わして2番手に浮上。さらにはSUBARU BRZ R&D SPORTも3番手にポジションを上げる。一方、LEON AMGはオープニングラップで5番手まで後退してしまう。
5周目にはLEON AMGの背中に31号車TOYOTA PRIUS apr GTがぴたりとつけ、オーバーテイクのチャンスをうかがう。その差は1秒以内。31号車プリウスとしてもタイトル獲得の可能性を残していることから、この争いは譲れない状況だ。
LEON AMGのステアリングを握るのは黒澤、31号車プリウスを駆るのは平手晃平。黒澤はラインを変えながら平手をブロックし、ふたりの争いにはGT500クラスが絡みながら、5番手をかけた激しい攻防が続く。
一方、10周目を終えてトップは依然マネパ ランボルギーニのマルコ・マペッリ。快走を続け、この時点で2番手の初音ミクAMGに対し約7秒のアドバンテージを築いていた。その初音ミクAMGは3番手のSUBARU BRZにその差を詰められる状況。さらに後ろからはGAINER TANAX GT-Rも接近し、この3台がワンパックとなって走行が続く。
その後方、ARTA BMWは13周目に8番手に浮上。5コーナーでHOPPY 86 MCのインをついて交わすと、HOPPY 86の抵抗を許さずにそのままポジションをキープする。
18周目を終えて、Modulo KENWOOD NSX GT3がいち早くピットイン。ここから各車、次第にピットストップに向けた動きが始まった。
■トップを快走のマネパ ランボルギーニにトラブル発生
20周目、トップを独走していたマネパ ランボルギーニの左リヤタイヤにトラブルが発生。バーストしてコンパウンドが剥がれたような状態でドライブしていたマペッリはなんとかマシンをピットへ運び、タイヤ交換、給油、ドライバー後退のフルサービスを行った。
このマネパ ランボルギーニと同じタイミングでLEON AMGがピットイン。こちらはタイヤ無交換で後半スティントを蒲生に託す作戦に出た。
その翌周、21周を走り切って初音ミクAMGがピットイン。左側2本のみのタイヤ交換でコースに復帰するも、タイヤ無交換作戦を採ったLEON AMGの後ろにつくことに。LEON AMGは事実上のポジションを上げることに成功した。
左リヤタイヤのアクシデントにより緊急ピットインを強いられたマネパ ランボルギーニは戦線に復帰したものの、ピットアウト後に再び左リヤタイヤにアクシデント発生、まだタイヤを交換したばかりのため、タイヤの摩耗というよりも内圧に問題があったのかもしれない。いずれにしてもマネパ ランボルギーニこれで優勝争いから脱落してしまった。
コース上では31号車プリウスが、トップのGAINER TANAX GT-Rをテール・トゥ・ノーズで追うと、GAINER TANAX GT-Rは24周を終えてピットイン。ランキング3番手の31号車プリウスを駆る平手がトップに浮上し、レースをリードする。
この時点でトップの31号車プリウス、3番手のARTA BMWは、いまだピットインを行っていない状況だ。
32周を走って、31号車プリウスがピットイン。こちらもタイヤ無交換でコースに復帰したが、ピットレーン出口でLEON AMGが横を通過していった。
31号車プリウスがピット作業を行った翌周の33周目に、ランキングリーダーのARTA BMWがピットイン。こちらもタイヤ無交換作戦を採ると、6番手でコースに戻っている。
しかし、後方からSUBARU BRZが迫ると、S字でインに飛び込みオーバーテイクを仕掛ける。ARTA BMWのショーン・ウォーキンショーもポジションを守ろうと粘りの走りをみせると、2台は接触。ARTA BMWは右のドアミラーを破損してしまった。
ほぼ全車のピットストップが終わった状況で、36周を終えてついにトップに立ったのはタイヤ無交換作戦を採ったLEON AMG。その約7秒後方に31号車プリウスが2番手で続き、初音ミクAMGが3番手で続く。この時点でARTA BMWは7番手だったため、このままLEON AMGが優勝すれば逆転チャンピオンを獲得できる状況だ。
42周目、7番手を走るARTA BMWはペースが上がらず、8番手のD’station Porscheに迫られる。D’station Porscheは5コーナーでARTA BMWのインを差すとオーバーテイク成功。ARTA BMWは抵抗できずに8番手に後退する。
トップのLEON AMGは2番手の31号車プリウスに対し、一時は10秒以上もの大差をつける圧倒ぶりで、そのままチェッカー。2018年シーズン初優勝を遂げるとともに、ARTA BMWは9位でレースを終えたことから、最終戦で12ポイント差をひっくり返してLEON AMGはが2018年シーズンのチャンピオンに輝いた。
2位には31号車プリウス、3位は初音ミクAMGといずれもチャンピオンを争っていた面々が名を連ねる形となった。