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GT300予選《あと読み》:ARTA BMW M6 GT3の予選10番手が波乱を呼ぶ!? ランキング上位陣に聞く決勝への展望

2018年11月11日 10:51  AUTOSPORT web

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高木真一(ARTA BMW M6 GT3)
ランキング首位・ARTA BMW M6 GT3=10番手。ランキング2位・LEON CVSTOS AMG=2番手。ランキング3位・TOYOTA PRIUS apr GT=8番手。ランキング4位・グッドスマイル 初音ミク AMG=3番手。スーパーGT第8戦もてぎの公式予選で、ランキング4位までのチームはこういった予選順位となった。大きな得点差をもっていたARTA BMW M6 GT3が有利ではないか……と予想されていた今季のGT300チャンピオン争いだが、ここへきて波乱も予想される順位となった。上位陣の決勝へ向けた展望を聞いた。

 まず、60ポイントを得てランキング首位につけるARTA BMW M6 GT3は、高木真一がアタックしたQ1で2番手につける。これで勝負はあったか……と思われたが、Q2のショーン・ウォーキンショーは「素晴らしい予選とは言えなかった」と10番手に終わってしまう。決して絶望的なグリッドではないが、もしそのままの順位に終わった場合、獲得ポイントはわずか1。ライバルたちにも俄然チャンスが広がる。

 予選後、高木に話を聞くと「予定どおり」と語りつつ、「でももう少し前にいきたかったな(笑)」と語った。ふだんから丁寧にメディアへ対応する高木だけに、悔しさや焦りなどは見えづらかった。高木によれば、ウォーキンショーのアタックにはわずかにロスがあったようだが、「決めていても5~6番手だったかな」と言う。

「去年のことも考えると、LEON CVSTOS AMGが優勝すると思う(LEON CVSTOS AMGは2017年最終戦もてぎで優勝)。そうすると僕たちは4位に入れればいい。その意味では、LEONがポールを獲らなくて良かったな……というのが正直なところ。でも4位でいいとはいえ、前のメンバーを見ると4位も難しいかも……!? そんな甘くないかな、と思ってます」

■メルセデスの2台の目標はあくまで勝利

 そのLEON CVSTOS AMGだが、黒澤治樹はARTA BMW M6 GT3の第7戦オートポリスでの決勝の速さから、今回も上位に浮上するのではないかと予想する。もしLEON CVSTOS AMGが優勝できても、高木が言うとおりARTA BMW M6 GT3が4位に入ればチャンピオンとなる。

「55号車は前回うしろ(22番手スタート)だったけど、決勝になったら上がってきましたよね(決勝4位)。だから、今回も上位に来ると思うんです」と黒澤。

「だからタイトル争いうんぬんよりも、自分たちがやるべきことをやらないといけません。まずは勝つことです。そうしないと可能性がなくなってしまいますから」

 一方、3番手につけたグッドスマイル 初音ミク AMGも、立場はそれほど変わらない。「どちらにしろ、僕たちは勝つしかない」というのは片岡龍也だ。

「ここまでは想定の範囲内ですね。欲を言えばポールポジションは欲しかったですけど、タイヤの選択を考えるとポールが狙えるコンパウンドではなく、レースを意識したものだったので」と片岡。

「普通に考えると、チャンピオンシップは正直キツいと思うんです。そのなかで、せめて勝って一矢報いることができるか、そしてその上でラッキーが起きるかどうか。向こう(ARTA)はアグレッシブにいく必要もないですからね」

 また片岡は、自分たちのチャンピオン獲得条件に必須となっている優勝のためには、タイヤ無交換作戦を採ってくるであろうライバルたちも警戒する。そして間違いなく他の上位陣のなかで、この作戦を採るチームはありそうだ。

「ライバル勢が無交換の可能性もあるので、少なくとも四本交換したら負けてしまうな……とも思っています」

■「観る側は楽しくなったと思いますけど」と高木

 ランキング3位のTOYOTA PRIUS apr GTは、Q1で危うく脱落する危険もあった。嵯峨宏紀のアタックで臨んだQ1は、ギリギリ通過となる14番手。なんとかQ2へ繋ぎ、平手晃平のアタックで8番手につけることになった。

 ただaprの金曽裕人監督は、「今年の予選最高位は7番手ですから。あんなもんでしょう」と言う。

「ポールが獲れるなんてさらさら思っていないです。今年はハイブリッドを積んだクルマのすべての性能調整が“この辺”なんですよ。それを今年はいいドライバーで戦って、レースで巧みに前に来た結果、チャンピオン争いができているだけ」

 実は予選では、嵯峨が履いたタイヤが想定よりも気温が下がりすぎたためうまくパフォーマンスを発揮しきれず、Q2の平手では違う種類のものにしたのだという。それほど、今のブリヂストンも“攻めている”ということだ。

「チャンピオン争いは、順当にいったらARTA。LEONが獲るかもしれないけど、ひょっとするとBSのランキングトップ4独占になるかもしれない。ブリヂストンの人も、チャンピオン争いに全員残ってるなんて初めてって言っていたけど。そのなかで、トップ4を獲ってそこに並べたらいいよね」と金曽監督。

「もちろんトップだったらいいけど、何かない限りは厳しいでしょう」

 ランキング上位陣のコメントを聞くと、まだまだARTA BMW M6 GT3に有利な状況は変わらないながら、2~3位のメルセデス勢や31号車TOYOTA PRIUS apr GTは、あくまでその条件である優勝を目指すのみ……というのが伝わってくる。必然的に、ARTAの位置を見ながら、激しいトップ争いが展開されるであろうということだ。もちろんここには、ランキング6位のGAINER TANAX GT-R(6番手スタート)や5位のK-tunes RC F GT3(12番手スタート)も加わってくるはずだ。

「観る側は楽しくなったと思いますけど(笑)。がんばりま~す!」と高木真一は、笑顔でコメントを締めた。果たして明日のレース後、笑っているのは誰なのだろうか……?