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レキシ、三浦大知と『SONGS』でコラボ曲初披露 周囲を引き込む“テーマパーク”のような魅力

2018年11月10日 19:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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 NHK総合でオンエア中の音楽番組『SONGS』の11月10日放送回にレキシが登場する。昨年の秦 基博特集の際、ゲスト出演したことはあったものの単体のアーティストとして特集されるのは今回が初めて。6thアルバム『ムキシ』を引っさげた全国ツアー真っ只中でのテレビ出演は、間違いなく追い風となるだろう。


参考:レキシは“大衆の求めるポップアーティスト”として定着? 最新作『ムキシ』から考える


 日本史を題材に、真面目とおふざけの間を自在に行き来する楽曲でじわじわと支持を集めてきたレキシ。デビュー当初は企画ものかとも思われたが、あれよあれよと言う間に10周年を迎え、昨年行われた全国ツアーも全会場ソールドアウトする人気ぶりだ。彼がこれほどまでに愛される理由とはどこにあるのか。


 レキシは、かつてSUPER BUTTER DOGや100sでキーボーディストを務めた池田貴史によるソロプロジェクトだ。幼いころから歴史好きだった彼が、日本史に登場する人物や事件をテーマに楽曲を作りはじめたのが活動の原点となっている。言葉遊びを取り入れたクスッと笑える歌詞、池田のルーツとも言えるソウルやファンクを土台にした楽曲もさることながら、デビュー当初より音楽ファンを釘付けにしてきたのが錚々たるアーティストたちとのコラボだ。


 代表曲「きらきら武士」では椎名林檎(Deyonna)、「年貢 for you」では秦 基博(旗本ひろし)、5thアルバム『Vキシ』収録の「最後の将軍」には松たか子(森の石松さん)が参加。このほかチャットモンチー(阿波の踊り子)、キュウソネコカミ(ネコカミノカマタリ)、サンボマスター・山口隆(田ンボマスター)、Every Little Thing・持田香織(もち政宗)など事務所の垣根を越え、レキシの“登場人物”となったアーティストは枚挙に暇がない。SUPER BUTTER DOG時代からの盟友・永積崇(シャカッチ)やいとうせいこう(足軽先生)にいたっては毎回アルバムに参加する、もはや常連だ。ちなみにカッコ内はレキシネームなるあだ名。楽曲に参加した証がこういうかたちで残るのもレキシならではだろう。


 新作『ムキシ』では三浦大知(ビッグ門左衛門)、上原ひろみ(オシャレキシ)、手嶌葵(カモン葵)が新たにレキシワールドの住人に。上原は対バン形式のライブで共演した以来の、待望の音源参加となる。今回の『SONGS』ではドラムンベースに色気のあるホーンが絡み合う三浦大知とのコラボ曲「GOEMON」をテレビ初披露。MVは類まれなダンスセンスの持ち主をさしおいてレキシが踊る、ある意味「お前が踊るんかい!」とツッコミ待ちな作品だっただけに、二人がどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかに期待が高まる。


 レキシというアーティストの稀有な魅力。それは入り口の多さと言ってもいい。耳に残るキャッチーなメロディ、ユニークな歌詞、池田のキャラクター、観客参加型のライブ、そして有名アーティストとのコラボ。ありとあらゆる場所になにかしらのとっかかりが用意されている。そして聴き手はどのドアを開けても、最終的に音楽の奥深さや面白さを知ることができる。コアな音楽ファンはもちろん、ライトな家族連れまで。いっしょくたに楽しませる懐の広さは、“歴史”のテーマ性ゆえでもあり、“レキシ”のアーティストとしての力量でもあるだろう。時にプロデューサーとして、時にプレイヤーとして世界観を整備し、その中で自由に遊びまわる。そんな、どこかテーマパークのような存在なのだ。


 『SONGS』では、レキシがプライベートでも通うという江戸東京博物館を訪れ、なぜ歴史を題材に音楽活動を続けるのかを問うとともに、数々のコラボにも迫るという。また、レキシが過去に楽曲提供して以来交流のあるさだまさしが、彼が愛される理由を解説。スペシャルライブでは「GOEMON」に加え、「きらきら武士」、「SHIKIBU」も披露する。普段のライブで見せるアドリブははたして発揮されるのだろうか。一体どこまでTVで許されるかにも注目しつつ、放送を楽しみに待ちたい。(渡部あきこ)