2019年シーズンのF1シートが危ういエステバン・オコンだが、最後の頼みの綱というべきウイリアムズ移籍の希望はまだ失っていない。確かにジョージ・ラッセルのチームメイトのシートは、依然として空いている。しかしオコンがそこに座れる可能性は、非常に低いというべきだろう。
ウイリアムズの実質的なチーム代表クレア・ウイリアムズは、「うちは持参金を必要としていない。実力本位でドライバーを選ぶ」と言っているが、そんな公式コメントとは裏腹に、財政難の同チームが持ち込み額の多寡を選択基準にしていることは明らか。そしてオコンを全面バックアップするメルセデスには、今のところウイリアムズの要求する莫大な費用を負担する気はないからである。
しかしオコンは万一ウイリアムズ入りに失敗した場合でも、別カテゴリーに行く気はまったくない。あくまでリザーブドライバーとしてF1に留まり、再来年2020年にメルセデスF1のシートが空くのを待つ構えなのだ。
「確かにいろんなカテゴリーのチームから、オファーをもらった」と、オコンは言う。
「具体的にどことは、言えないけどね。どちらにしても僕のマネージメントをお願いしてる人たちとも話し合って、その方向には進まないと決めた。メルセデスF1と行動を共にして、できるだけたくさんのことを学んで将来に備える。その方がずっと有益だと信じてるからね」
オコンにはインディカーのSPM(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)からも、オファーがあったと言われる。しかし最終的にそこには、ザウバーのレースシートを失ったマーカス・エリクソンが行くことになった。
それ以外にもメルセデスはオコンに、DTMで有名なHWAからのフォーミュラEへの参戦を勧めたようだ。しかしこの申し出もオコンは拒否し、マクラーレンを追われたストフェル・バンドーンが抜擢された。
こうしてバンドーンはメルセデスと契約を結び、来季はDTMチャンピオンのギャリー・パフェットとともにフォーミュラEシーズン5を戦う。オコンが頑固にF1に留まることにこだわった結果、ふたりのF1ドライバーが新たな進路を得ることになった。