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木村佳乃×水野美紀、壮絶な演技バトルに注目 『あなたには渡さない』激しい愛憎劇の幕開け

2018年11月10日 06:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 テレビ朝日系土曜ナイトドラマ『あなたには渡さない』が本日11月10日よりスタートする。ごく普通の専業主婦だった上島通子(木村佳乃)の目の前に、現れた夫の愛人・矢萩多衣(水野美紀)。料亭の御曹司であり、板長も務める通子の夫・旬平(萩原聖人)、通子に恋心を抱く笠井芯太郎(田中哲司)を巻き込み、女同士の壮絶なバトルが期待される今作。激しくも美しい愛憎劇の見どころを紹介したい。


参考:『あなたには渡さない』水野美紀、木村佳乃の“ギャップ”に困惑? 「こんなに憎み難い人はいない」


 1996年に新潮社から刊行された連城三紀彦の小説『隠れ菊』を現代版にリメイクした本作は、連城三紀彦ならではの美文体と叙情的な描写から溢れ出る女性の強さが魅力だ。主人公・通子は、旬平と多衣の不倫、料亭の倒産など、20年間守り続けてきた平穏な日常を一度に奪われてしまう。しかし通子は持ち前の勝気な性格と前向きさを活かし、たくましく人生を生き抜いていく。


 まず見どころとなるのは、木村と水野による壮絶な女同士のバトルだ。平凡な主婦として、20年間夫を影で支えてきた妻・通子の目の前に現れた女性は、夫と6年間も通じ合っていた愛人だった。夫の愛人・多衣は余裕ある表情で、通子の心を打ち砕くような言葉を次々と彼女にぶつける。通子と多衣が対峙するシーンは、まさに「あなたには渡さない」という執念が感じられ、まるで2人の背後に炎が燃えているかのような凄まじさだ。


 特徴的な台詞にも注目してほしい。完成披露試写会の際、水野は「台詞の裏に隠された感情がさまざまな演出によって色濃く引き出されるドラマ」だと語った。今作で発せられる台詞は、原作を思い起こさせる文学的な表現も多い。しかし、役者陣の熱の入った演技や、音響、照明などの効果により、美しい文体が感じられる台詞は、ドロドロと激しい女たちの心情へと姿を変えていく。原作小説に登場する「ご主人をいただきにまいりました」や「泥棒猫」といった印象的な台詞が、際立たせるような演出とともに登場し、視聴者に強烈なインパクトを与えるのが待ち遠しい。


 通子と多衣のバトルに巻き込まれる男性陣にも注目だ。妻・通子に気づかれることなく、6年もの間、多衣と関係を持ち続けた旬平。多衣を愛してしまったことは事実だが、第1話で通子に離婚届を渡す決断には彼なりの事情がある。この旬平の行動や今後の彼の心の動きが、彼女たちのバトルをどう発展させるのか期待が高まる。また通子の兄の友人であり、通子に秘かに想いを寄せる笠井もこの物語には欠かせない。不器用な人物で、自分の想いを秘めたまま通子を支えることになる。通子と多衣、そして旬平の関係性をよりいっそう複雑にすることは間違いないだろう。


 本作で展開される壮絶な女同士のバトルは、木村と水野の演技バトルとも言える。完成披露試写会で、木村と水野は、今作のドロドロとした雰囲気を感じさせない裏話を明かしている。水野は木村の人柄について「こんなに憎み難い人はいない」と評し、彼女を罵倒するような台詞を言わなければならないことに苦しんでいると明かしていた。木村は「演技の直前まで子供の夕飯のことで頭がいっぱい」と語っていた。


 しかし、共演する萩原と田中が驚くほど、木村は演技に対するオン・オフの切り替えがすごいという。完成披露試写会で話された内容から、撮影中の和気あいあいとした様子を想像することはできても、作中からその雰囲気を感じとることは全くもってできない。木村と水野が晴れやかな表情を浮かべることはほとんどなく、緊張感のある正妻と愛人を見事に演じきっている。視聴者をこのドロドロとしたストーリーにどこまで没入させることができるか、彼女たちの演技バトルにも注目だ。酸いも甘いも噛み分けた俳優陣4名によって、大人の濃厚な世界が妖艶に彩られる。激しくも美しい愛憎劇に、目が釘付けになるはずだ。(片山香帆)