海外ライダーの参戦が注目を集めた全日本ロードレース選手権最終戦・鈴鹿大会JSB1000クラス。イギリススーパーバイク選手権(BSB)のブラッドリー・レイは、ヨシムラスズキMOTULレーシングからGSX-R1000L8を走らせ、公式予選で4番手と健闘した。初めて“鈴鹿の雨”を経験することになった決勝は、レース1が14位、レース2は8位だった。レイが語る“全日本ロード参戦記”。
今夏、ヨシムラスズキMOTULレーシングの一員として鈴鹿8時間耐久ロードレースにエントリーしたブラッドリー・レイ。イギリススーパーバイク選手権(BSB)を戦う若手の注目株は、トップ10トライアルで5番手タイムをマークし、鈴鹿サーキットを湧かせた。
自身初の耐久レースとなった決勝は、チームメイトの転倒もあって10位に終わったが、「最後まで努力して得た結果を誇りに思う。またぜひ日本で戦いたい」とコメント。その言葉通り、自ら希望して全日本ロード最終戦へのスポット参戦が実現した。
ドライ路面で行われた予選は、2分5秒438という好タイムで4番手につけた。これはヨシムラの鈴鹿レコードラップだった。雨となった決勝は初めて履くブリヂストンのレインタイヤに戸惑い、レース1は14位。レース2は濡れた路面が乾き始めるという難コンディションとなったが、徐々にペースをつかんで8位でチェッカーを受けた。
「ヨシムラの一員として鈴鹿に戻って来られて本当にうれしい。今回も最高の経験ができたよ」とレイ。
「GSX-R1000についてたくさんのことが学べたし、鈴鹿サーキットに対する理解も深まった。決勝日は朝起きたら雨で、『えっ!?』と思ったけどね(笑)。雨の鈴鹿サーキットを走るのも、ブリヂストンのレインタイヤを履くのも初めての経験だったから……。ふだんのBSBとは違うマシンとタイヤでレインレースを戦うのはとても難しかったけど、すごく大きな学びの機会になった」
日本の熱烈なバイクレースファンとのふれあいを楽しんだ、と言うレイ。「渡辺一馬、高橋巧、中須賀克行の3人は本当に速いね!」と全日本のレベルの高さに驚かされながらも、手応えをつかんだようだ。
「彼らは『遅いところがない』という感じ。バイクもタイヤもコースも知り尽くしていて、タイムの出し方をよく理解している。でも、僕にももう少し走り込む時間があって、決勝がドライだったら、4位か5位……いや、表彰台には立てたかもしれないよ」と笑う。
2019年シーズンもBSBで戦うレイ。数々の難コースで繰り広げられる激しいバトルは、非常にハイレベルだ。「中須賀や高橋(巧)がBSBに来たとしてもきっと速いと思うな」とレイは笑う。彼自身は、日本でマシンを走らせることを心から楽しんでいる。
「BSBではトラクションコントロールやウイリーコントロールなどの電子制御は禁止されているんだ。タイヤもピレリのワンメイクだしね。日本だと電子制御の効くバイクを走らせられるし、ピレリ以外のタイヤを履くこともできる。本当にたくさんの経験ができて、楽しいんだよ。もちろん、来年の鈴鹿8耐にも参戦したいな」