2020/21年のWEC世界耐久選手権参入を目指すスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)の創設者、ジェームズ・グリッケンハウスは2018年7月に発表したプロトタイプカー『SCG 007 LMP1』は既存のレーシングカー、SCG 003Cの進化版になるだろうと語った。
アメリカに本拠を置くSCGは同社のオリジナルレーシングカーでVLNニュルブルクリンク耐久シリーズやニュルブルクリンク24時間に参戦し、2017年には24時間レースの予選で総合ポールポジションを獲得するなどの活躍をみせている。
そんなSCGは今年6月に発表された市販車ルックの車両規定導入と、開発および参戦コストの大幅削減を掲げるWECの“ハイパーカー”規定に興味を示すと、翌7月にはSCG 007 LMP1と名付けられた新型プロトタイプカーのイメージCGを発表。同時に1台のレーシングカーとロードゴーイングカー25台を生産する予定であることを明らかにし、2020年のWEC参戦に前向きな姿勢をとっている。
そのSCG 007 LMP1について、グリッケンハウス氏は「最終的な車両規定が載っていなかったため、我々が見ることのできた予備的なルールの見解から変更がある可能性はあるが、新しいレースカーはハイブリッドコンポーネントを搭載したSCG 003Cだ」と述べた。
「007と呼ばれるWECとル・マンを走ることのできる003“エボ”バージョンを作り上げることは、まったくもって不可能なことではない。それは冗談などではないよ。我々はプログラムを行うための資本を持っているんだ」
「(ハイパーカー規定の)最終的なルールは私たちの夢であるル・マン参戦を不可能なものにするだろうか? 確かにその可能性は排除できないが、我々がこれまでにやってきたことをみれば、私たちが有言実行することがわかるだろう」
■グリッケンハウスはテクニカル・ワーキンググループに参加していない
また、グリッケンハウス氏は同社がハイパーカー規定の骨子を作るテクニカル・ワーキンググループの会合に関与していないものの、競合他社が取り決めた規定のなかでも不利にはならないだろうと考えている。
「私は(会合に参加している)マニュファクチャラーの面々が、我々にとって不公平になる取り決めをすることはないと信じている」
「例えばポルシェ。昨年、我々がニュルブルクリンク24時間でポールポジションを獲得した際に最初に祝福してくれたのはポルシェ・レーシングの首脳陣だったんだ。私は彼らが我々の功績を一緒に喜んでくれたと思っている」
「また、トヨタのスタッフたちも真の競争を見たいと思っているだろう。そして同時に、彼らはイコールコンディションでの勝負を恐れていない。何があっても我々はそれに真っ向から臨むつもりだ」
SCGがWECの2020/21年シーズンに持ち込む予定である007のパワートレインは現時点で確定していないものの、エンジンについてはGM製が有力視されている。
「クルマはアメリカン。コンポーネントもアメリカ製になるだろう」とグリッケンハウス氏。
「新型車のエンジンはまだ決めていないが、さまざまなタイプに対応できるようにしている。全体の重量とサイズの点ではV6ツインターボに利点がある。しかし、V8を搭載することも不可能ではないんだ」
「レースカーとロードカーので哲学的に同じ構造を持つパワートレインを使いたいと考えている」
SCG 007の生産はニューヨークにある同社の施設で行われる予定で、組み立てられたクルマはイタリアのポディウム・エンジニアリングでレースカーへの改装を受けるという。