人工知能「AI」を採用の場に導入する企業が増えている。11月6日の『モーニングCROSS』(MX系)では、AI採用の現状やメリットなどを有識者達が議論した。
ゲッティイメージズジャパン代表取締役の島本久美子さんは、顔認証で使われるデータセットに白人男性が多いせいで"バイアス"が生まれた例を紹介した。このデータセットをAIに機会学習させたところ、黒人女性の顔が認証されなかったという。
データベースが偏っていると差別が助長されることの典型例だ。AIは、使う側の人間の意識が問われることを浮き彫りにしている。(文:石川祐介)
HR tech導入の最大のメリットは「未来志向の人選ができる人事部になる」こと
ただ、「NewsPicks」編集長を務める金泉俊輔さんは「それでもAI採用のほうがマシ」だと主張する。AIを中心としたHR techを導入した企業に取材をしたところ、新卒・中途採用の精度向上、面接の効率化など、良い影響があったと分かったという。
「学歴フィルターは人間だとより出てしまう。機械学習を設定すれば、新卒採用もその人のレターとかから判断できる」
「採用面接は、人間が最初の5分で決めてしまうことが多い。人間のほうが中立性がなくなる現状があるので、AIと組み合わせることで質問の最適化などが始まる」
最大のメリットは、人事部のスタンスが変化することだそうだ。
「既存の採用方法だと、『過去どういう人間が良かったか』という志向になってしまう。技術を駆使することで、個人の業績を最大化できるような、未来志向のある人選ができる人事部になる」
とはいえ、AIのほうが人間より万能、というわけではない。「人間が中立化を失うところを、中立に寄せていく能力はAIのほうがある」という考えだと補足していた。
ちなみに、番組内で取った「近い将来、AIによる採用は一般化すると思いますか?」というアンケートでは、最多が「もっと時間がかかる」(624票)、「5年以内にする」(477票)、最も票が低かったのが「実現しない」(288票)だった。多くの人が、AI採用の時代はいずれやって来ると考えているようだ。