今年4月から、妊婦の医療費負担が増える「妊婦加算」が始まった。病名や診療科に関わらず、自己負担3割の場合は、初診料で約230円、再診で約110円が上乗せされる。検査や薬の処方に当たって特別な配慮が必要になるため、というのが、加算が始まった理由だ。
開始から半年以上が経っているが、制度を知らない人は多い。カラダノートが10月末に発表した、妊婦1781人を対象にした調査では、制度を知っている人は25.9%に留まった。過半数の56.2%は聞いたこともないという。
「妊娠を隠す女性を増やしかねない」と危惧する人も
また67.4%は制度に反対している。「出産以降もお金がかかるので負担が増えるのは嫌」「少子化を懸念するならむしろ逆効果」というのが主な理由だ。
ネットでは「妊婦税」「これは国として社会保障費で負担すべき」と反発する声が相次いでいる。「少子化推進するつもりか」、「持病持ちや授乳中も該当するんじゃないの?」という不満の声もあった。妊婦でなくても、持病がある人や特定の薬にアレルギーがある人、いつも飲んでいる薬がある人に対しては、診察・処方に配慮が必要だ。なぜ妊婦だけが加算されるのか疑問に思うのも当然だ。
診察後に妊娠していることがわかった場合には加算されないという性質も、不満を広げている一因だ。ネットユーザーの中には「妊娠を隠す女性を増やしかねない」と懸念する人もいた。医療費を削減するために妊娠を隠して受診すれば、適切な配慮が受けられない恐れもある。
妊婦の診察で負担が増える医師のために診療報酬を上乗せするのはわかる。しかし、妊婦本人に負担を求めるのは問題ではないか、という指摘も多い。ただでさえ妊娠・出産に費用が掛かるのだから、少子化対策のためには、妊婦の医療費を軽減するような制度があってもいいのではないだろうか。