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ドコモとAGCが世界初『ガラスアンテナ』を開発 スマホによる高トラフィック社会の救世主となるか?

2018年11月07日 11:52  リアルサウンド

リアルサウンド

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 株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)とAGC株式会社(以下、AGC)が提携し、景観を損ねずに既存窓ガラスの室内側から貼り付けができる、世界初となる電波送受信が可能なガラスアンテナを共同開発した。


(参考:KDDIとNetflixの業務提携で、通信&動画配信の勢力図はどうなる?


 移動通信のトラフィック量は増大し続けており、安定した高速通信に向けて対策が必要となっているなかでの今回の発表。ドコモによると、高トラフィックエリアにおいては、スモールセル基地局(通常基地局のエリア内に設置する、小さなサービスエリアを構築する基地局)を設置しトラフィックを分散させることが重要で、スモールセル基地局用のアンテナ増設が必要となる。現在、スモールセルアンテナは主に建物の屋上や中低層階の壁面に設置されているが、屋上や壁面は設置できる場所が限定されること、街の景観を損ねることから、設置が困難な場合が多くあるため、建物内にアンテナを設置することで建物内から屋外をエリア化することを検討した。


 建物内へのアンテナ設置においては、室内の意匠性を損ねる、電波が窓ガラスを通過する際に減衰するといった課題があり、これを解決するために、AGCが保有する既存窓の表面にガラスを貼り付けるアトッチ工法(既存窓に後からガラスを貼り付けることで、省エネ・防音などの機能を付加することができる工法)を活用し、室内の窓面に設置可能な新たなアンテナの開発を進めてきたという。


 今回開発したガラスアンテナは、透明・透視性のある導電材料とガラスを組み合わせており、透明であるというガラスの特徴により目立ちにくく、景観や室内デザインを損なわない
新たに開発したGlass Interface Layer(グラス インターフェイス レイヤー・ガラスに近づくことによってガラスアンテナの性能が変わる影響を抑え、アンテナ本来の持つ性能を引き出す技術)の効果により、窓ガラスを通過した際の電波の減衰・反射を抑えるという特長を持っている。


 両社は2019年上期より、現在主流であるLTEの周波数帯の基地局へ本ガラスアンテナを展開していく予定で、今後は5Gに対応したガラスアンテナの開発も検討していくという。スマートフォンや動画メディアの普及によって、各人の通信がより高トラフィックになりつつある現在。今回の開発がその一助となることを期待したい。(リアルサウンド編集部)