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中居正広の司会番組に感じる奥深さ 『うたばん』時代から続く“心”とこだわり

2018年11月07日 10:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 レギュラー出演しているバラエティ番組からスポーツ番組をはじめ、プロ野球やドラフト会議の特番と、このところいつにも増して中居正広の露出が続いている。


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 ファンにとってこの活躍ぶりは喜ばしいが、なぜ中居の司会は幅広い世代から愛されるのか。その秘訣を探ってみたい。


■『うたばん』時代から続く意外な一面を引き出す力
 11月7日放送『UTAGE!秋のリクエスト祭り』(TBS系)では、『うたばん』で長らく共にMCを担当していた石橋貴明がゲスト出演することが発表された。


 『うたばん』といえば、MCの二人がゲストを挟むようにして座り、じっくりとトークを楽しむ音楽番組。音楽のこと、私生活のこと、楽曲を披露する人たちを別の角度から掘り下げていく番組だった。


 嵐がゲスト出演した際は、大野智と中居のケンカコントがお決まりだった。“先輩に暴言を吐く後輩”として印象に残った人も多いだろう。


 アーティストが登場し、新曲の聴きどころ、ダンスの見どころを紹介する予定調和的な展開ではなく、音楽番組なのに何が起こるかわらかないという玉手箱のような面白さがあった。


 この頃から、アーティストと直球で音楽の話をするというよりは、音楽を制作、演奏して披露するアーティストたちの意外な一面に迫っていた。


 10年ぶりとなる『うたばん』コンビ復活で、どんなパフォーマンスを披露するのか待ち遠しい。


■スポーツから音楽までとにかく守備範囲が広い
 また、中居の出演番組はとにかくジャンルが幅広いことが特徴として挙げられる。


 11月5日放送の『中居正広のスポーツ!号外スクープ狙います!』(テレビ朝日系)では、アスリートが登場し、アスリート家庭特有の生活スタイル、年間の出費などスポーツ番組では語られることのない裏側に迫っていた。


 中居は以前、自身のラジオ番組『中居正広 ON & ON AIR』(ニッポン放送)でこんなことを語っていた。プロ野球のラジオ中継のゲストとして出演したことを振り返り、「野球を知ってる人寄りの話が多くて、たぶん“中居くん応援してます”っていうような、これ聴いてるような子たちとかはもう全然、1ミリも考えなかったね」、「これ、女の子聴いてるんじゃないかな、女性が聴いてるんじゃないかなって1ミリもなかった」とコメント。逆を返せば、普段出演する番組で、どれだけ視聴者やリスナーのことを考えているのかが伺えるエピソードだった。


■曲紹介のこだわりに込められた中居の戦略
 「俺、そんな曲紹介されたら歌わないからね(笑)」


 自身のラジオ番組で、曲紹介についてのこだわりを感じられる一幕があった。番組中、トークを終えた中居は「歌!」とスタッフに振ったところ、スタッフが淡々と曲紹介をしたため、先述のようにスタッフの口調についてダメ出しをしていた。


 また、スタッフが「舞祭組で……」と舞祭組の楽曲を紹介しようとすると、中居が「もう舞祭組の時期終わったんじゃないの? ずいぶん前じゃん、これ出たの」と鋭く指摘した。


 恐らくだが、単純に口調についてのダメ出しでトークを展開することのほかに、これをフックに、新たに舞祭組のライブDVDが発売されたことや、番組で流す曲のタイトルを言い直すことでさりげなく宣伝をしていたのではないかと捉えることもできる。


 総じて、どの番組でも中居が発する言葉やトークの振りには思いが込められている。その場面は面白く過ぎていくのだが、振り返ったときに「ああ、実はそういう意味も兼ねているのか」と感心させられる。


 中居は自身のラジオ番組で「番組によってはゲストを際立たせるんじゃなくて、番組自体の企画を際立たせるようなこともありますし、でも自分で自分の番組で、自分が際立つことによって番組が際立つってことを考えれば自分も(目立ちに)いくときもありますし」と露出度の見極め方について、司会者ならではの難しさを感じていることを明かしていた。


 誰が観てもわかるように、楽しめるようにという中居の“心”を感じる番組には、噛めば噛むほど味が出るスルメのような奥深さがある。(柚月裕実)