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コンビニ駐車場を横切る「コンビニワープ」は危険だけど…「違法」じゃないの?

2018年11月07日 10:22  弁護士ドットコム

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交差点での信号待ちを避けたり、少しでも時間短縮するために、コンビニの駐車場を通り抜ける――。交差点に面した広い駐車場のある地方などでは、こうしたショートカットの裏わざを使う車両をよく見かける。


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西日本新聞によると、この裏わざは「コンビニワープ」と呼ばれているそうだ。本来、駐車場に入ってくる車両は、徐行運転しているが、コンビニワープの車両は運転手が急いでいることもあり、それほどスピードを落としていないことも少なくない。


だが、ほかの車両や歩行者もいるため、非常に危ないときがある。かくいう筆者も、こうした車両にはねられそうになったことがある。はたして、コンビニワープは法的に問題ないのだろうか。櫻井俊宏弁護士に聞いた。


●建造物侵入罪が成立する可能性がある

「コンビニワープ自体が違法と評価される場合もあります。


そもそも駐車場とはいえ、コンビニ店舗とその経営主体の所有権・賃借権などの権利が及んでいる場所ですから、コンビニ側の承諾がなければ、進入することができないのが原則です。コンビニの利用者にだけ、黙示ないし明示によって、駐車場への進入許可が出されていると考えられます。


さらに、その駐車場がコンビニ店舗に隣接している場合は、『建造物』に含まれると考えられます。そうすると、コンビニワープのためにだけ、駐車場に進入することは、先ほど述べたようなコンビニ側の意思に反する行為といえますので、『建造物侵入罪』が成立しえます。


たとえば、コンビニ側が『コンビニ利用者以外駐車場利用はお断りします』といった看板で警告していた場合、なおさらその可能性が高まります。さらに、民事上も不法行為責任を問われる可能性があります」


●駐車場も「道路」とみなされる可能性

もしコンビニワープで事故が起きた場合、どうなるのか。


「建造物侵入罪の刑事罰の程度に明らかな影響を与えることはないと思われますが、量刑を決める上での情状の1つとして考慮されることはありえるでしょう。


なお、過去の判例によると、たとえ駐車場だったとしても、不特定多数の人や車両が自由に通行する場所であれば、『道路』とみなされます。その場合、道路交通法の適用も受けることになるでしょう。また、人身事故となれば、過失運転致死傷罪なども適用されることになるでしょう。


さらに、民事上、コンビニワープ中の事故であれば、通常起こりうる事故ではなく、被害者側も想定しえない事故でしょうから、加害者側の過失は大きく算定されることになると思います。


刑事・民事上の責任を負うこともそうですが、コンビニワープは、そもそも危険極まりない行為です。それで事故が発生した場合には、目も当てられませんので、やめたほうがいいでしょう」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
櫻井 俊宏(さくらい・としひろ)弁護士
交通事故、離婚・男女問題等を得意としている新宿・青梅の弁護士法人アズバーズ代表弁護士。応援団出身であり、中央大学の学内顧問弁護士(法実務カウンセル)を担当している。「弁護士 ラーメン」と検索するとラーメンブログが一番上に出てくる程のラーメン好き。
事務所名:弁護士法人アズバーズ青梅事務所
事務所URL:http://as-birds.com