北米スポーツカーシリーズの最高峰、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ(WSCC)は11月2日、2019年スポーティングレギュレーションを発表した。
既報のとおりジェントルマンドライバーを擁するLMP2チーム向けに専用クラスを創設するとともに、GTデイトナ(GTD)クラスでは比較的経済的な負担の少ないスプリント戦のみを対象としたGTDスプリントカップを新設する来季のWSCC。
これらの変更はアマチュアドライバーのシリーズ参戦すなわち、さらなるエントリー数の拡大を促す狙いがあるとされている。
その一環であるLMP2クラスの創設は、これまで自動車メーカーが開発しプロドライバーが搭乗するDPiと同じ土俵(プロトタイプクラス)で総合優勝を争っていたLMP2チームが、レースでより成功を収めるられるようにと用意されたもの。
ドライバーラインアップの一部にジェントルマンが加わることの多いLMP2チームからは度々、プロ・プロのDPiとプロ・アマの同クラスの棲み分けを望む声が上がっていた。
そのLMP2クラスでは2019年よりWEC世界耐久選手権/ル・マン24時間と同様に、FIA国際自動車連盟が定めるドライバーランクでシルバー又はブロンズに分類されるドライバーを布陣に加えることが義務付けられることになる。
また、デイトナ24時間、セブリング12時間、ワトキンス・グレン6時間、ロード・アトランタ10時間(プチ・ル・マン)を除くスプリントレースを対象としたGTDスプリトカップが新設されるGTDクラスも、P2クラスと同じようにドライバーランクごとの出場可能枠が設定されている。
なお、プロトタイプクラス改めDPiクラスとなるトップカテゴリーと、LM-GTEマシンを使用するGTル・マン(GTLM)クラスについては、これまでどおりオールプロの戦いとなる。しかし、DPiクラスでは使用するタイヤがコンチネンタル製からミシュラン製にブランドがスイッチされることが決定。GTDクラスも同様にミシュランのワンメイクとなり、唯一“タイヤ戦争”が許されているGTLMクラスを含めて来季のWSCCは参戦する全車がミシュランタイヤユーザーとなる見通しだ。
2019年WCSSスポーティングレギュレーションの詳細は以下に挙げる変更点概要を確認してほしい。
●LMP2およびGTDチームは各車のラインアップにシルバー又はブロンズカテゴリーのドライバーを起用しなければならない。
●シルバー又はブロンズドライバーがIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップに初めて参戦する場合、IMSAのドライバー評価委員会の承認を受ける必要がある。
●GTDクラスのシルバー、ブロンズドライバーには各ラウンドの予選前に専有走行の機会が与えられる。
●LMP2、GTDクラスのブロンズ、シルバードライバーは各クラスの予選を担当するとともに決勝レースのスタートドライバーを務めなれけばならない。
●LMP2、GTDクラスのドライバー指定
1)各チームは2時間40分または100分間で争われるすべてのスプリントレースで最大2名のドライバーを起用しなければならない。このうちの1名にはプラチナ、ゴールドランクのプロドライバーを起用することができる。
2)セブリング12時間、ワトキンス・グレン6時間、プチ・ル・マンでは最大3名のドライバーを登録が可能となる。スプリントレースと同様に、起用できるプロドライバーは1名のみ。
3)シリーズ最長のデイトナ24時間は4~5名のドライバーを登録することができる。プロドライバーは、プラチナひとりとゴールドひとり又はゴールドふたりという組み合わせから選択することが可能。
●LMP2クラスのトッププロ・アマドライバーに贈られるジム・トゥルーマン賞と、GTDクラスのトッププロ・アマドライバーに与えられるボブ・アキン賞はシーズンを通しての最上位ドライバーに授与される。(過去数年間は総合順位に加えてラップとマイルを含む計算方法を用いて決定されていた)
●LMP2とGTDクラスチームのプライベートテストはエントラントごとに計4日間に制限される。
●GTDチームは2019年1月4~6日、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されるWSCC唯一の公式テスト“ロア・ビフォア・ロレックス24”において、最初の2日間のみの参加となる。
●DPiとGTLMクラスはのプライベートテスト制限が従来よりも強化され、2019年は計8日間に短縮される(予定)。