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『ゼロ 一攫千金ゲーム』『ドクターX』も 人気ドラマスピンオフ作品が動画配信サービスで展開中

2018年11月05日 17:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 ある作品から派生した物語を描いた「スピンオフ」と呼ばれる作品がある。例えば、主人公以外のキャラクターを物語の中心に据えることで、もともとの作品では映し出されなかったストーリーを視聴者は楽しむことができる。そして、鑑賞後に本編をまた違った感覚で楽しむことができるのも、スピンオフ作品の大きな魅力だ。そして昨今、ドラマのスピンオフを動画配信サービスで展開する、というケースが増えている。


 例えば、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)のスピンオフドラマとして製作された『ドクターY~外科医・加地秀樹~』。『ドクターX』シリーズと言えば、現在放送中の『相棒』シリーズと並ぶ、テレビ朝日系列の高視聴率作品だ。“腹腔鏡の魔術師”と称されるほど、エキスパートな腕前を持つ加地秀樹(勝村政信)は、お金には目を奪われるものの、出世にはあまり興味を抱かないという一面も。そんな、主人公・大門未知子(米倉涼子)に並ぶ、個性的なキャラクターを持つ加地が主演の『ドクターY』は、第1弾が2016年に、第2弾が2017年にそれぞれ放送。そして今年9月に第3弾が、KDDIの動画配信サービス「ビデオパス」と、「テレ朝動画」で配信された。


 また、今年放送された『ゼロ 一攫千金ゲーム』(日本テレビ系)のスピンオフ作品は、Huluで配信された。NEWSの加藤シゲアキが主演を務めた本作は、同グループの小山慶一郎、増田貴久、手越祐也らの友情出演が話題に。Huluでは、『ゼロ エピソードZERO』として小山、増田、手越がそれぞれ主演を務める作品としてスピンオフが制作された。日本テレビ系のドラマでは、これまでにも『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』『ゆとりですがなにか』『トドメの接吻』などのドラマもHuluでのスピンオフ作品の配信を行い、積極的に動画配信を展開している。


 あらためて、スピンオフ作品の魅力は、「本編に出ていたこのキャラクター、もっと掘り下げてくれるといいな」というファンの願いが叶ったり、あるいは本編には出てこないキャラクターたちが多く出演し、少し趣が異なる世界観をみせてくれたりするところにある。もし本編とスピンオフがほとんど同時期に視聴できるのであれば、スピンオフをみることで本編のドラマの見え方が変わったりすることもある。


 もちろん、こうした動画配信が一般に広まる以前から、テレビでスピンオフを放送するドラマはいくつも存在した。ただ近年、平均的なテレビの視聴時間がかつてに比べて減少しているとも言われるなか、地上波に乗せることと比較すれば、制作しやすい動画配信サービス用のコンテンツとしてスピンオフ作品の量産が可能になったことは、ドラマファンに新たな楽しみが生まれつつある。また、特にスマートフォンやタブレットの利用の増加に伴い、本編のドラマのファンのみならず、普段テレビをあまり視聴しない層がテレビドラマに関心を持つきっかけ作りにもなり得るだろう。


 その他にも見逃し配信サービスや、SNSとの連動企画といったテレビとそれ以外の媒体とを結びつける取り組みが増えていくことで、今後のドラマのあり方にも変化が見られるかもしれない。


(文=國重駿平)