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岡田将生と山崎育三郎が目指す落語界の未来 『昭和元禄落語心中』2人は別々の道へ

2018年11月03日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 ついに自分の落語を見つけた菊比古(岡田将生)は、助六(山崎育三郎)とともに落語が生き延びるための道を作ろうと約束をする。この約束は兄弟弟子として長い時間をともにした2人にしか果たせないものだった。


【写真】岡田将生と大政絢と山崎育三郎


 11月2日に放送されたNHKのドラマ10『昭和元禄落語心中』第4話は、菊比古と助六の対立が描かれた。落語に対する2人の考え方の相違は、のちの2人の人生を大きく左右することとなる。


 これまでも菊比古と助六は正反対の性格として描かれてきた。二ツ目として板につき始めた菊比古は、生真面目な性格から落語協会からも気に入られていた。菊比古は廓話以外の話でも十八番を手に入れようとさらに稽古に明け暮れる。


 一方、助六は私生活のだらしなさや師匠たちへの態度から協会内で浮いた存在へとなっていた。だが、その愛嬌と落語の腕前から人気が高く、助六はテレビやラジオに引っ張りだこの人気者へと成長していく。協会内では八雲の後継はどちらになるのかという噂も出始めていた。


 助六は「他人がいなきゃ落語はできねえ」と客のことを第一に考えていた。そのためには古くから伝わる落語の伝統を変えることも厭わない。その姿勢も師匠たちから煙たがれる原因のひとつであり、菊比古とも喧嘩になることが日常茶飯事だった。


 菊比古は“落語は1人でやるもの”という考えを持っている。よって、真打ちに上がると決めた頃から惹かれ合っていたみよ吉(大政絢)と離れることを決め、落語に没頭した。


 やり方は違えど、2人が落語界の事を想う気持ちは変わらず一緒だった。“自分の落語”を長い二ツ目生活で見つけた2人は、それぞれの道で落語の生き延びる道を作ろうと約束を交わす。客に合わせて変化していく落語と、いつの時代も変わらない落語を貫いていくことを誓った。


 ここで八代目八雲(菊比古)が与太郎(竜星涼)とした3つの約束のうちのひとつが思い出される。八雲は、この約束はどちらかが欠けてもできないものであると言い、助六がいなくなった穴を与太郎に託した。


 さて、八雲の過去編もいよいよクライマックスとなる。助六は師匠との口論が原因となり破門に追いやられてしまう。果たして、助六の人懐っこい落語をもう一度聞ける時は訪れるのだろうか。


(馬場翔大)