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ホンダ高橋巧がヤマハ中須賀に一矢報いるか。SBKライダー参戦で全日本ロードJSB1000最終戦は混戦の予感

2018年11月02日 19:41  AUTOSPORT web

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高橋巧(Team HRC)
圧倒的な強さを見せるYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行か。10年ぶりのファクトリー参戦となるTeam HRCの高橋巧か──。鈴鹿サーキットでの最終戦までもつれこんだ全日本ロードレース選手権JSB1000クラスのタイトル争いは、絶対王者・中須賀に挑む高橋の意地の見せどころであり、ヤマハとホンダのプライドのぶつかり合いでもある。

 9戦中8勝を挙げ、ランキングトップの座に就いている中須賀。11月2日の午前・午後に行われたART合同走行でも総合トップタイムをマークしてみせた。総合トップとなった中須賀は「ここまで積み重ねてきたものがあるからこそ、今の位置がある。さすがに7回チャンピオン獲ってますからね。特に緊張してるわけでもないし、いつも通りのレースができると思ってます」と、余裕と自信を覗かせる。

 中須賀を逆転する可能性を持っているのは、ランキング2番手の高橋巧だけだ。だが、2018年シーズンはまさかの未勝利。ふたりのポイント差は43ある。最終戦は10周のレース1、20周のレース2という変則的な2レース制で行われ、ボーナスポイントも与えられるが、高橋にとってはかなり厳しい状況だ。レース1でタイトルを決める可能性が高い中須賀を、高橋がどう阻止するかに注目が集まる。

 ART合同走行を終えた高橋は、「タイムは自己ベスト付近まで出ている。今年のなかでは一番(優勝の)可能性があると思います」と手応えを得たようだ。「10周しかないレース1に照準を絞って、勝負をかけたい」と“ストップ中須賀”に意気込みを見せる。「鈴鹿は、8耐(鈴鹿8時間耐久ロードレース)というHRCにとって大きな意味があるレースが行われるサーキット。『来年に向けて』という意味でも、ここで勝っておきたい」

 中須賀が駆るヤマハYZF-R1は、ヤマハファクトリーが2015年のデビュー以来4年をかけて細部を煮詰め、熟成を重ねてきた。一方、高橋が走らせるホンダCBR1000RRWはHRCが威信を懸けて開発し、車名の末尾にはワークスを示す“W”を冠している。

 今年の鈴鹿8耐ではCBR1000RRWがYZF-R1を追撃したが、8時間の戦いでわずか30秒届かず敗北した。さらに全日本でもCBR1000RRが未勝利の完敗を喫すれば、ホンダとしては大きな痛手だ。ファクトリー4年めで盤石な体制を築いているヤマハに対し、初年度のチャレンジャーであるホンダがいかにして一矢報いるかも、最終戦の大きなポイントとなっている。

■SBKライダーが全日本で速さを見せる
 また、今大会には海外から有力ライダーがスポット参戦している。ヨシムラスズキMOTULからは、イギリススーパーバイク選手権(BSB)を戦うブラッドリー・レイが参戦。今年の鈴鹿8耐で鈴鹿サーキットの走行経験があるレイは、BSBでも優勝しており、22歳の勢いある走りに期待がかかる。

 Kawasaki Team GREENからは、スーパーバイク世界選手権(SBK)を戦っているトルコ人のトプラク・ラズガットリオグルがエントリー。2018年にSBKデビューしたラズガットリオグルは、イギリス・ドニントンパーク大会レース2で2位表彰台に立つなど活躍中。11月2日のART合同走行1回目ではいきなり3番手につけ、ポテンシャルを見せつけた。

 ヤマハの中須賀、ホンダの高橋による王座を巡る一騎打ちに、一発勝負を懸けるスズキのレイやカワサキのラズガットリオグルが絡んでくれば、4メーカーが入り乱れての目が離せない展開になりそうだ。