モンスターエナジーNASCARカップは10月28日、バージニア州マーティンズビルのマーティンズビル・スピードウェイで第33戦が行われ、マーティン・トゥルーエクスJr.(トヨタ・カムリ)を押すような形でトップに浮上したジョーイ・ロガーノ(フォード・フュージョン)が優勝を飾った。
シリーズ全36戦で争われているNASCARカップシリーズも残り4戦。チャンピオン決定戦“プレーオフ”も終盤となり、第35戦までの3戦で候補が8名から4名に絞られ、最終戦の第36戦ホームステッドでチャンピオンが決定する。
最終戦での王座獲得権を賭けた“ラウンドオブ8”初戦となる第33戦は、NASCARカップ戦が行われるトラックではもっとも短い1周0.526マイル(約0.84キロ)のマーティンズビル。その独特の形状から“ペーパークリップ”の愛称でも親しまれる。
130周、130周、240周の3ステージ合計500周で争われた決勝レース、ステージ1は残り14周でチームメイトを交わしたデニー・ハムリン(トヨタ・カムリ)がトップチェッカーを受けた。
続くステージ2は、ハムリンとチームメイトのカイル・ブッシュ(トヨタ・カムリ)、ロガーノの3名がトップ争いを展開。ファイナルラップにはトップのロガーノにハムリンが詰め寄るとサイド・バイ・サイドに持ち込んだが半車身届かず。ロガーノが制した。
迎えた最終ステージ3もロガーノがラップリーダーとしてレースを支配する展開となるが、後方からはカイル・ブッシュとハムリンにトゥルーエクスJr.を加えた3台のトヨタ勢が追いかける展開に。なかでもロガーノとトゥルーエクスJr.はチェッカーまで残り10周を切ると激しいバトルを繰り広げた。
トゥルーエクスJr.がイン側、ロガーノがアウト側につけるサイド・バイ・サイドで迎えたファイナルラップ、バックストレートで前に出たトゥルーエクスJr.の後ろにロガーノが迫ると、トゥルーエクスJr.の左リヤを小突くような形でターン4へ飛び込んでいく。
これでトゥルーエクスJr.のライン取りがワイドになると、ロガーノが強引にイン側へマシンをねじ込み、両者はマシンをこすらせながらホームストレートへ。しかし、ここでトゥルーエクスJr.はバランスを崩してリヤがスライド。この間に前へ飛び出したロガーノが第33戦を制してみせた。
肉弾戦とも呼べるバトルを制したロガーノは、歓喜の声援とブーイングが飛び交う中、「(最終戦の舞台である)マイアミのことだけを考えていた」と語った。
「こういったバトルが好きな人もいるだろうし、逆に嫌いなファンもいるだろう。ただ僕はハードファイターで、これは周知の事実だ。今年のシリーズタイトルを獲るためにチャンピオンシップを戦っているんだからね」
一方、ロガーノに押し出される形で勝利を逃したトゥルーエクスJr.は「ロガーノは僕とのバトルには勝ったかもしれないが、(チャンピオンを賭けた)“戦争”には勝てないだろう」と述べている。
「このまま彼を勝たせるつもりはまったくない。シリーズタイトルは手にしてみせるよ」
「レース終盤6周はロガーノの隣にいたけど、僕から彼にぶつかることは一切なかった。互いに激しいバトルを演じていたけれど、僕は自分のルールに則って戦っていた。フェアに戦ったつもりだよ」
「(オーバーテイクのために)ドアを蹴るような行為はしなかった。ただ、ロガーノは僕のリヤにぶつかって、道を作り上げていったんだ」
モンスターエナジーNASCARカップの第34戦は11月4日、テキサス州フォートワースのテキサス・モーター・スピードウェイで行われる。