若手ラリードライバーを育成するTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加する勝田貴元が10月25~28日、WRC世界ラリー選手権第12戦ラリー・スペインにWRC2クラスから参戦。クラス12位で2018年最後のラリーイベントを終えた。
スペイン北東部の観光地、サロウを中心に開催されたラリー・スペインはWRCで唯一、グラベル(未舗装路)とターマック(舗装路)が組み合わされる“ミックスサーフェスラリー”だ。昨年に続き2年連続でこのラリーに臨む勝田にとって今戦は2018年のWRCイベント6戦目であり今季最後のラリーとなった。
そのラリー初日、勝田は強豪ひしめくWRC2のライバルたちに引けを取らないスピードを見せる。その中でも特に光ったのがイベント最長の38.85kmのSS4で、ひとつのステージ内にグラベルとアスファルトが混在する難しいコンディションのなか、クラス3番手タイムを記録してみせる。
しかし、SS6でコースオフを喫した勝田は戦線に復帰することができず、ここでデイリタイアを喫することとなってしまう。
ターマック路面で争われる土曜のデイ3、ラリー2規定に基づき再出走を果たした勝田を待っていたのは雨と大量の泥に覆われた路面という初めてのコンディションだった。この難コンディションに苦戦を強いられた勝田だったが、走行を重ねるにつれて徐々にタイムアップ。ダンプ路面に対してドライ用タイヤで挑んだ日曜も、徐々に自信を深めながらペースアップを果たし再出走後の二日間を無事に走り切ることに成功している。
■トミ・マキネン代表「勝田の能力を最大限に発揮させるには、さらなる経験が必要となるだろう」
「とても複雑で難しいラリーでしたが、さまざまな状況でのドライビングを通して多くのことを学ぶことができた週末でした」とラリーをふり返った勝田。
「(金曜のデイ2は)SS4だけでなく、他のステージのスプリットタイムも良いタイムを刻むことができ、グラベルステージでのスピードには満足していますが、ミスをもっと減らさなければならないと感じました」
「土曜日は雨が降っていてナーバスになっていましたが、走行を重ねるにつれ、少しずつ自信が持てるようになりました。また、日曜日も同様に、ドライタイヤを選んだためグリップが少なく最初はナーバスでしたが、だんだん自信がついてきました」
2019年にはWRC最上位クラス進出を見据え、内容の強化がアナウンスされているラリーチャレンジプログラムについては、「1年間を通して自分の成長と進歩には満足しており、サポートしてくれたチームのみんなにはとても感謝しています」とコメント。
「つねに僕を正しい方向に導いてくれ、ここまで来ることができたのは彼らのおかげです。まだまだ伸ばすべき点はたくさんあるので、これからもさらなる成長のために努力を続けます」と意気込みを語った。
また、プログラムを監修するトミ・マキネンTOYOTA GAZOO Racing WRT代表は「この1年間のプログラムの進歩をうれしく思っている」と勝田の成長を評した。
「この週末は勝田にとって貴重な経験となったはずだ。金曜日のグラベルでは良いタイムを出したが、同時にミスもみられた」
「今回、濡れたアスファルトでの走行は初めてで非常に難しかったはずだ。しかし、彼は土曜日、日曜日を無事に走り切り経験を積むことができただろう」
「勝田は今年良い成長を見せてくれたが、ラリーというスポーツで彼の能力を最大限に発揮させるにはさらなる経験が必要となるだろう。2019年に向けて、彼の成長に効果的なスケジュールを検討しているんだ」
今戦で2018年のプログラムを終了したTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム。強化ドライバーに選ばれた勝田の2019年スケジュールは決定次第アナウンスされる予定だ。