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宮崎駿監督、ドワンゴ会長・川上量生氏に激怒した真相を語る「あのウケ狙いが川上さんの弱点」

2018年10月31日 10:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 10月25日、ドワンゴが運営する動画サービス「niconico」のニコニコ生放送にて、同社のゲームプロジェクトに関する情報番組「ドワンゴゲーム会議(仮)」が配信され、人気VTuberの電脳少女シロ、チュンソフト代表の中村光一氏、スタジオ・ジブリの宮崎駿監督(映像出演)らが登場した。


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 番組冒頭、司会役のシロが「これまでドラクエシリーズなどを作られてきた中村さんですが、表に立たれることが最近少なかったようにお見受けします。もしかしてずっと温めていた作品があって今日、やっと出せるということなのですか?」と質問すると、中村氏は「はい、そうなんです。しっかりと作っておりました」と回答し、早速、視聴者の期待感を煽った。


 まずは、人工生命観察育成プロジェクト「ARTILIFE」についての情報が解禁された。同プロジェクトはその初期段階で、ドワンゴの会長・川上量生氏が「『スタジオ・ジブリ』の作品に活かせないか?」と、奇妙な動きをするゾンビのような生き物のCG映像をサンプルとして提案し、宮崎監督から「生命に対する侮辱を感じます」「極めて不愉快ですよね」と一喝されたことで知られている。


 今回、その発言の真意を知るべく、スタッフが宮崎監督の元へインタビューしに訪れた映像が公開された。はじめにスタッフから「川上さんは宮崎さんにとってどういうお方になるのでしょうか?」と問われると、宮崎監督は「不思議な人ですよ」と回答。続けて「友人ですか?」と聞かれると、「知り合いですよ」と一定の距離感を示した。


 次にスタッフは早速インタビューの核心部分となる「人口知能の件で、川上さんが怒られたのを気にされていて……」と話を切り出した。すると宮崎監督は「いやいや、別に川上さんたちとの関わり方は変わらないですよ」と関係の維持を明言しつつも、「要するに、人工知能というものを色々もてはやすと、やっぱり馬鹿げた事が起こるんだなって。その時に川上さんみたいにアナーキーな人が歯止めを持っていないなと思いましたね」と、激高した真相を明かした。


 宮崎監督はさらに「やっぱりごく普通の地べたで暮らしている人間にとっては不快なものは不快ですよ。そういうことで僕は反応しただけですよ」と続け、「あのウケ狙いが無かったら変なものだなってなるけど、あのクソ真面目な顔したオヤジ顔がくっついてたんですよ」と、くだんの奇妙なCG生物に触れて、「あのウケ狙いのオヤジ顔を笑って済ましているっていうのは、川上さんの大きな弱点だと思う」と、川上氏の本質をえぐった。


 しかし、「欠陥(弱点)は俺もいっぱい持ってるから、なんか面白いことができるかなって思ってやったことでしょ?」と一定の理解を示す発言も。加えて「無給でプロデューサーの見習いになってやって来るっていうのは只者じゃないもん。それでいる間に色んな事をもの凄い勢いで吸収したよね。最初に来た時の川上さんとはずいぶん違うと思う」と川上氏を評価し、その上で「だから、距離は全然変わっていないですよ、最初に来た時から。そういう関係でいいんじゃない?」と改めて“知り合い”以上でも以下でもないことを強調していた。


 宮崎監督の映像後には、コンセプターの飯田和敏氏、人工生命クリエイター中村政義氏、エンジニアの大垣慶介氏のインタビュー映像もO.A。それぞれが同プロジェクトに並々ならぬ意欲を持って取り組んでいることが明かされた。特に「人工生命が好き過ぎて、僕から人工生命を取ったら何も残らない」と発言した中村氏は、宮崎監督激怒事件の直後、ショックで3日間、会社を休むほど落ち込んだらしい。なお、人工生命観察育成プロジェクト「ARTILIFE」は、11月に体験生放送が実施され、12月にサービス開始が決定したことも発表された。


 その後中村氏が、番組冒頭に触れていた「温めていた作品」について詳細を明かした。まずは「プロデューサー・中村光一、ディレクター・麻野一哉、開発・チームテクテック、製作・ドワンゴ」というクレジットと共に「一生歩けるRPG テクテクテクテク」とタイトルを紹介するティザーPVが放送。ちなみに、中村氏と麻野氏はこれまでに『弟切草』や『かまいたちの夜』、『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』などを手掛けた名コンビとして知られている。


 VTRの後に、中村氏はここ3年ほどメディア露出があまりなかった理由について「この『テクテクテクテク』を作っていたから」だと説明した。シロから「『一生歩けるRPG』とあったのですが、どんなゲームなんですか?」と質問されると「11月8日にニコニコ生放送にて詳しい内容を発表します」と宣言。


 最後に中村氏は「私、15歳からゲームを作り始めて、今年で40年目くらいになるんですけど、これまで『ドアドア』というゲームからスタートして、『ドラゴンクエスト』とか『弟切草』『かまいたちの夜』『風来のシレン』とかいっぱい作ってきたのですが、いずれも作っている時すごい楽しかったんですね。今回の『テクテクテクテク』は、もう作っている途中、めちゃくちゃ楽しくて、54歳になってゲームをやりながら『こんなに面白いことがあるんだ!』と思えるくらいでした。ぜひ、皆さんに1日も早く体験してもらいたいです!」と自信を持っておすすめしていた。


(こじへい)