今季のGT300は、開幕戦でUPGARAGE 86 MCが優勝したものの、第2戦富士では高木真一/ショーン・ウォーキンショー組ARTA BMW M6 GT3が優勝。第5戦でも圧倒的な強さをみせ、年間2戦ある富士スピードウェイで46ポイントを荒稼ぎ。第1戦の5位、第7戦での4位なども合わせて、60ポイントを獲得している。
それに続くのが、これまで表彰台こそないものの、安定して上位フィニッシュを続け、今季全戦でポイントを獲得し48ポイントを積み重ねている黒澤治樹/蒲生尚弥組LEON CVSTOS AMG。そして優勝こそないが、三度の表彰台フィニッシュで46ポイントを獲得した嵯峨宏紀/平手晃平組TOYOTA PRIUS apr GTが3位だ。
4位は2017年チャンピオンで、45ポイントの谷口信輝/片岡龍也組グッドスマイル 初音ミク AMG、5位は第7戦を制し44ポイントの新田守男/中山雄一組K-tunes RC F GT3。6位で42ポイントを獲得している平中克幸/安田裕信組GAINER TANAX GT-Rまでがチャンピオンの権利を残している。ちなみに、ランキングトップ6中4台がブリヂストン装着車だ。
ただ、第7戦の終了後、「チャンピオン争い踏みとどまりましたね」とランキング上位のエンジニアに話を振っても「だいぶ厳しいですけどね」、「いや~無理でしょう」と返ってくる言葉はかなり悲観的。LEON CVSTOS AMG、TOYOTA PRIUS apr GTで2位以上、それ以下では優勝か、ポールポジションを獲得しての2位以上が、さらにARTA BMW M6 GT3が無得点……というような状況が求められるからだ。
さらに悲観的する理由としては、ARTA BMW M6 GT3とブリヂストンの組み合わせが、もてぎではかなり強力なパッケージだと予想されていること。また、もてぎを得意とするのはTOYOTA PRIUS apr GTも同様で、ライバルたちからはこの2台が優勢では……と予想する声も。ちなみにレクサスRC F GT3は、基本的にストップ&ゴーはあまり得意ではない。
もちろんタイトル争いを展開する6台のほかにももてぎを得意とするマシンがいる。タイトル争いの渦中のチームからすると“ジャマ”な存在だが、昨年優勝も夢ではなかったD'station Porscheや、同じポルシェのGULF NAC PORSCHE 911、さらにHOPPY 86 MCやHitotsuyama Audi R8 LMSなど、ここ数年のもてぎで実績を残しているマシンたちはやっかいな存在になるだろう。彼らも当然、今季を勝って終わりたい。もしレース中にタイトル争いに絡むマシンたちとの間で無理なオーバーテイクが生まれれば、波乱を呼ぶ可能性もある。