レッドブル・レーシングは、過去に発生した数々のトラブルについて、エンジンパートナーであるルノーにその責任があると非難してきたが、一方でチーム代表のクリスチャン・ホーナーは、メキシコシティの過酷な環境下でエンジンのパフォーマンスを発揮させたことについてはルノーを高く評価した。
F1第19戦メキシコGPで、ダニエル・リカルドは予選で抜きんでた走りでポールポジションを獲得し、マックス・フェルスタッペンは決勝を大差で制した。標高の高さというコースの難条件に合わせて完璧にチューニングされたエンジンを、同じく良好に仕上がったRB14シャシーが補完して、ふたりに力を与えた。
「功績があれば当然認めるべきだ」と、メキシコGP決勝後にホーナーは語った。
「週末にルノーから供給されたエンジンは、ライバルたちと戦うための競争力を備えたコンディションになっていた」
「それによってチームのふたりが競うように良い走りを見せ、グリッドのフロントロウを独占し、圧倒的な強さでグランプリを勝利できたのだ。理論上はワンツーもレッドブルが決められるはずだった」
「このサーキットは標高が高く、いくつかのライバルチームの力は制約される。一方で、ルノーのエンジンを使うチームは競争力が高まる」
「だからこそ、我々はあえて(ロシアGPで)ペナルティを受けてまでスペックBのパワーユニットをプールし、この週末に向けて全力を注いできたのだ」
しかしながら、リカルドがチェッカーフラッグの10周手前でリタイアしたことで、チーム全体のパフォーマンスは満点とはいかなかった。
「彼のスタートは悪かった。だがそれは技術的な問題ではなく、単に手順の問題だった」と、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは語った。
「その後、ひどいことにクラッチのベアリングが壊れた。非常に悔しい気持ちだ。ワンツーでフィニッシュできればよかったわけだからね」
自身のコンディションとシーズン8度目のリタイアという結果を考えれば理解できることだが、リカルドは決勝終了後に興奮のなかでこう言った。「僕はもう終わったし、このマシンはのろわれている」
リカルドに大いに同情するホーナーだが、まだその気持ちを直接本人に伝えてはいない。
「彼のいら立ちはよく分かる。彼につきまとう今の暗雲が、最後の2レースでは晴れてくれることを願っている」とホーナー。
「想像できると思うが、彼は一刻も早くこのサーキットから立ち去りたがっていた。我々は、もう少し時間がたって落ち着いてから彼と話すつもりだ」