2018年10月30日 10:42 弁護士ドットコム
避妊に失敗し、愛人の女性に「警察に言う」「慰謝料払え」などと迫られているという男性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられました。
【関連記事:渋谷ハロウィン「こんな堂々と痴漢されるもんなの?」逮捕者続々、露出度高い衣装に「自己責任論」も】
相談者は女性に金銭を渡し、身体の関係を2年続けています。いわゆる「愛人契約」のようなものかもしれません。ある日、行為の終了後に避妊具が破けていることに気づいた相談者は、女性にアフターピル代を渡しました。
ところが、後日女性からは「もう体を使ってお金を稼げなくなった。生活費6万5000円を毎月振り込め」「払わないと会社に電話する」と連絡があったそうです。また、合意のうえで行為をおこなったのに、「無理やり出された」「警察に言う」などと言われるようになりました。
こうした場合に慰謝料などは発生するのか、また彼女のしていることは脅迫とみなしていいのかーー。鈴木淳也弁護士に聞きました。
ーー相談者は慰謝料を支払わなければならないのでしょうか
「今回の性行為は両者の合意のうえで行われたものです。避妊具が避けてしまっていたといえども、妊娠していないのであれば、慰謝料の支払い義務が生じる可能性は低いと考えられます。
女性がアフターピルの使用で体調を崩し何日か休業せざるを得なかった場合はその分の賠償義務が生じることがありえます。そうだとしても、あくまで両者の共同行為の結果ですので、全額ではなく、それぞれが半分ずつ負担するということになります」
ーー女性の行為は「脅迫」にあたるのでしょうか
「被害者の方が感情的になり『払わないと会社に言う』などと言ってしまうケースはたまにあります。ただ、一般常識で考えるとそのようなことを会社に言われては困ると考えるのが通常であり、このような発言は相手方を畏怖させるような害悪の告知といえます。
そして、ただ脅迫するだけでなく金銭の支払いを求めているので、脅迫罪(刑法222条1項)ではなく、より罪の重い恐喝罪(同法249条1項)の問題となります。
今回の事案でも女性の行為は恐喝罪の実行行為となります。相談者がお金を実際に支払うに至らなくても未遂罪(同法250条)として処罰され、実際に支払えば恐喝罪として処罰されることになります。警察に相談されることをお勧めします」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
鈴木 淳也(すずき・じゅんや)弁護士
第一東京弁護士会所属。大学時代は理学部に所属し、地球温暖化システムについての研究をしていた。しかし、多くの人と触れ合い、広く社会の役に立てる仕事に就きたいと考え、決まっていた就職を辞退し、司法試験を目指すことに。気象予報士の資格を持つ理系弁護士として、民事・刑事を問わず困っている人に寄り添う弁護活動を行う傍ら、お天気情報をブログで発信している。
事務所名:鈴木淳也総合法律事務所
事務所URL:https://law-sj.com/