F1第19戦メキシコGP決勝レース直後のルイス・ハミルトンによる世界タイトル獲得の祝賀ムードは、メルセデスチーム内では抑えられたものになった。チームとしてはこのレースをシーズン最悪のパフォーマンスと見ているからだ。
ハミルトンはレースを表彰台圏外の4位でフィニッシュした。彼のタイトル獲得は疑問の余地のないものだが、彼のペースは普段のレベルには遠く及ばないという、複雑な午後となった。
ハミルトンはそれなりに良いスタートを切ったが、タイヤの摩耗とハンドリングに苦しめられ、レース終盤ではメルセデスW09をクルージングさせるまでに遅れをとることになった。
メルセデスF1チーム代表のトト・ウォルフは、週末の結果に対し対照的なふたつ感情が入り混じっていることを認めた。
「タイトル獲得は素晴らしいし、ルイスとチームのためにとても喜んでいる」とウォルフは述べた。
「だが、嬉しくもあり残念でもある。我々のレース内容は非常に悪く、このことを理解する必要がある。それが今、頭の中での多くを占めている。だがチャンピオンシップについては喜ぶべきだろう」
ウォルフはメルセデスのパフォーマンスの低さに苛立ち、気を取られて、結局無線でハミルトンに祝意のメッセージを伝えることをしなかった。
「私は彼に何も言わなかった。なぜならレースのパフォーマンスについて非常に腹を立てており、自分を再度落ち着かせる必要があったからだ」
ハミルトンがドライバーズタイトルを制した一方で、ウォルフは引き続きコンストラクターズ選手権の制覇に集中している。メキシコGPでメルセデスはフェラーリに対してコンストラクターズポイントを失っている。
「注目されるという点では、ドライバーズ選手権が非常に重要なものであるのは確かだが、コンストラクターズ選手権はまだ決まっておらず、ブラジルでは強力なパフォーマンスを発揮する必要がある」
メルセデスのテクニカルディレクターを務めるジェームズ・アリソンも同様に、レースにおけるメルセデスの事実上の“完全敗北”に当惑している。
「完全に混乱した週末だ」とアリソンは語った。
「だが1年全体の努力によって今日達成したことを記憶にとどめるべきだ。今日の結果は良くないものだが、全体的に達成したことは最高だし、今年のルイスの走行は比類のないものだ」
「喜ぶべきだが、このように完敗を喫したときはなおさら意識して喜ぶ必要があるようだ」
アリソンは、メルセデスが常に優勢とはなっていない2018年シーズンを、苛烈な競争のひとつであると言う。
「マシンの差は小さく、主要なドライバーたちの競争力は1年を通して上がったり下がったりしていた」
「我々は最速ではない。適切なタイミングで競争力を出そうとしただけだ。競争力を発揮できなかったときは、戦いに残れるよう努力したのだ」
「ひどく難しい1年だ。だがそのためにずっとスリルに富んだものになっている!」