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じん、バルーン、羽生まゐご……邦楽シーンに影響を与える期待のボカロPアーティスト

2018年10月29日 16:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 じんが11月7日に3枚目のアルバム『メカクシティリロード』を発売する。前作より5年6カ月ぶりとなる今作は、発売前にも関わらずすでにリスナーの間で話題となっている。


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 また、11月28日にはヒトリエがシングル『ポラリス』をリリース予定。今作はTVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』(テレビ東京系)のエンディングテーマにも起用され、すでにオンエアも10月から開始されている。


 サウンドクリエイターとロックバンドのメインコンポーザーという活動の形は異なれど、邦楽シーンにおける人気アーティストの1人となったじんとヒトリエのwowaka(Vo/Gt)。2組に共通するのは、元々ニコニコ動画でボーカロイド楽曲を発表している“ボカロP”であることだ。


 一躍有名アーティストとなった米津玄師がボカロP・ハチとして活躍していたのもまだ記憶に新しいだろう。今や現在の邦楽には欠かせない存在となった“ボカロP”。今後メジャーシーンにも大きな影響を与えるであろう、ボカロP出身アーティストを改めて紹介したい。


■じん
 2011年の初投稿以来、「カゲロウデイズ」などの楽曲で多くのリスナーからの支持を集めているじん。歌詞のストーリーがリンクした一連の作品『カゲロウプロジェクト』で一躍脚光を浴びた、「自然の敵P」の愛称でも親しまれる人気ボカロPだ。


 特徴的なドラムンベースがアクセントとなったロック色の強い楽曲もさることながら、謎が謎を呼ぶ展開が特徴的な『カゲプロ』のストーリーも中毒性が高く、多くのファンを虜にしている。楽曲制作だけでなく『カゲプロ』の世界観を軸にした小説なども手掛け、2014年のアニメ化(『メカクシティアクターズ』)に際しては、じん自ら全話の脚本を執筆した。音楽だけにとどまらず、幅広いアプローチで『カゲロウプロジェクト』という物語を多方向へと拡充していくじんは、ボカロPきっての異才にして天才である。


■バルーン/須田景凪
 2013年4月より投稿開始。初投稿作「造形街」でボカロシーンの話題をさらったバルーンの名は「シャルル」「雨とペトラ」などの代表作によってさらに広く知られるようになる。再生数ミリオンを達成した「シャルル」の自身歌唱によるセルフカバー楽曲の動画は、2018年10月28日現在、1,658万回以上再生されている。


 そんなバルーンが、“須田景凪”として歌手活動を開始したのは2017年10月。卓越した表現力とセンスが魅力的な楽曲はもちろん、自身のボーカルもエモーショナルで色気があり、狂おしく切ない歌詞によくマッチしている。


 来年の1月にはすでに全6曲収録のEPのリリースが決定。ボカロPとして花開いたその世界観をさらに分厚く生々しく彩る彼の唯一無二の歌声は、今後多くの人々の心を揺さぶるに違いない。


■羽生まゐご
 2015年11月初投稿、新進気鋭のボカロP・羽生まゐご。代表曲は「ゆれる」「阿吽のビーツ」「懺悔参り」などで、「阿吽のビーツ」では初殿堂入り。今年10月3日には遂に初の全国流通盤として1stフルアルバム『浮世巡り』をリリースした。


 羽生まゐご楽曲の最大の魅力は徹底された世界観。ジャポニズムやメルヘンにひと匙の憂いを加えたような歌詞世界、そしてアンビエントからエレクトロ系まで幅広い作風でありながら和音階を駆使したメロディが数多くのボカロリスナーを魅了し続けている。11月14日発売のDAOKOの新アルバム『私的旅行』にも楽曲を書きおろすなど、今後最も目が離せないボカロPだ。


 これまでもボカロPからシーンを牽引するアーティストが多数輩出されてきたが、今後活躍するであろうアーティストも新たに登場し続けている。最新の音楽シーンを知るには、もはやボカロPは避けて通れない最注目要素であるといえるだろう。(五十嵐文章)