F1第19戦メキシコGP土曜日の予選後、田辺豊治F1テクニカルディレクターは「今回のメキシコGPはタイヤのマネージメントが重要になるレースになるでしょう」と語っていた。
果たして、日曜日の決勝レースは、そのとおりの展開となった。
予選14番手のブレンドン・ハートレーは新品のスーパーソフトをスタート時のタイヤに選択し、1ストップをプランAの作戦にしてスタート。チームメイトのピエール・ガスリーは最後尾から1周目に少しでもポジションを上げるためにハイパーソフトタイヤを履いて、2ストップ作戦でスタートした。
だが、1周目に想定外の事態に見舞われる。ハートレーが「4コーナーでのポジション争いでちょっとした混乱があって」、ブレーキをロック、タイヤにフラットスポットを作ってしまう。
そのため、ハートレーは1周目に緊急ピットイン。新品のウルトラソフトタイヤを履いてコースに復帰したものの、温存していた新品のスーパーソフトをわずか1周で交換しなければならなかった時点で、ハートレーのレースは大きな妥協を強いられる結果となった。
ハイパーソフトを履いたガスリーは、1周目に3つポジションを上げて17番手に。その後、予定通り5周目にピットインして、新品のスーパーソフトにタイヤを交換して、コースに復帰した。その後、26周目に2度目のピットストップを行い、再び新品のスーパーソフトを履いてレースを再開させ、作戦通りの走りを披露していた。
ところが、ハイパーソフトでスタートしていたルノーとザウバー勢がスーパーソフトに履き替えた後、タイヤ交換せずにポイント圏内を走り続けるのである。そうなると、コース上で抜くしかない。しかし、ハートレーは抜けず、逆に後方から追い上げてきたエステバン・オコン(フォース・インディア)と接触。5秒のタイムペナルティを受けてしまう。
その直後にガスリーがオコンを抜いて、ハートレーのポジションまで上がってきたため、チームはガスリーをハートレーの前に出す作戦を取り、54周目にガスリーが11番手に上がる。
■終盤戦はザウバーが強力なライバルに
ここで再びトロロッソ・ホンダの前に立ちはだかったのがザウバーのエリクソン。16周目にタイヤをスーパーソフトに変えたエリクソンは、26周目に同じスーパーソフトを履くガスリーより10周多く走っていたが、ガスリーはなかなか抜けない。
「ドライバーは『最終コーナーを立ち上がったときのスロットル踏める位置が全然違って、ストレートに出たら、かなり離されていて追いつけなかった』と言っていました」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)
トロロッソ・ホンダは、ここ2戦うまくタイヤを使えなかったレースが続いていたが、この日は最後まで失速することなく、悪くないタイヤマネージメントを行っていたことは、最後尾からスタートしたガスリーが10位に入賞したことでもわかる。
しかし、それ以上にこの日はザウバー、マクラーレン(ストフェル・バンドーン)、ルノーの上手なタイヤマネージメントが光った。7位と9位のダブル入賞を果たしたザウバーは一気に8点を加えてトロロッソ・ホンダを逆転した。しかし、田辺TDは残り2戦は再逆転するために万全を期して戦うという。
「ブラジルGPとアブダビGPは、われわれパワーユニット側でドライバーたちの足を引っ張るようなことのないような準備を行い、持てる力を最大限出せるような週末にしたい」